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Saturday, August 1, 2020

カシオの「数」「音」「時」の部屋で発明の歩みを知る|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch

カシオ計算機を生んだ“樫尾4兄弟”の次男、故・樫尾俊雄氏は生涯に313件の特許を取得した発明家だ。自らも設計に携わった私邸は2013年に「樫尾俊雄発明記念館」に生まれ変わり、発明品と樫尾氏の足跡や信念を紹介している。

館内では5カ所の展示室を見学できる。各部屋の名前にちなんだ発明品が並び、懐かしのテレビCMや樫尾氏や関係者のインタビューも視聴可能だ。

リビングを改装した「発明の部屋」では、国内外の博物館にも収蔵されている世界初の小型純電気式計算機「14―A」を展示。計算する様子も観察できる。科学技術用のリレー計算機や樫尾氏のアイデア、取得した特許の数々も紹介している。

1957年に341個のリレーを使って発明した世界初の小型純電気式計算機「14―A」

窓の外に富士山を望む「数の部屋」では、歴代の電卓を並べて競合メーカーとの激しい競争の歴史を示す。電子楽器が並ぶ「音の部屋」では独自の「子音・母音システム」の仕組みや、音楽に対する樫尾氏の熱意に触れることができる。「時の部屋」では、現在のカシオ計算機の屋台骨である腕時計の開発の歩みを伝えている。

年間に約1500―1600人の来場者が訪れる。解説を交えながら樫尾氏が発明にかけた思いを伝えるため、事前予約制にして1日の来館者数を限定している。製品の愛用者や地元の学生だけでなく、製造業を中心に企業研修の一環で来館する例も多い。染谷薫副館長は「夏には子ども向けのワークショップも開いている。発明の楽しさを発信する場でありたい」と話す。

青銅色の大きな屋根やコンサートホールのようなエントランスなど、細部までこだわった内外の装飾も同館の魅力の一つ。館内の各所にある、鳥を描いた色鮮やかなステンドグラスは樫尾氏や家族を表しているという。

「創造の部屋」と名付けられた書斎も、大理石を用いた特注の壁や繊細な模様を施したすりガラスなどが目を引く。豊かな自然を臨むこの部屋で、樫尾氏は寝食を忘れて発明にいそしんだという。

※新型コロナウイルス感染症対策のため、当面は1日2組各3人まで見学可能。

【メモ】▽開館時間=9時30分―17時。事前予約制▽休館日=土、日、月曜日▽入館料=無料▽最寄り駅=小田急小田原線「成城学園前駅」▽住所=東京都世田谷区成城4の19の10▽問い合わせ=同館ホームページのメールアドレスへ

日刊工業新聞2020年7月31日

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