海外から見に来る人も
木々の向こうに建つ、お伽話に出てきそうな白くて可愛いシンプルな家。そこに向かって橋が伸びている。右頁の写真では、木々に隠れて2本しか見えないが、上の竣工写真にあるように橋の数は3本。長さはなんと12mもある。しかも一番上の橋は、家の3階の扉と繋がっているので結構な高さだ。そのうえ橋の反対側にあるのは、四面がガラス張りの建物。童話の中かテーマパークにしか存在しえない、非現実感溢れる家である。
「家が完成した頃は、海外からも見学に来た建築好きの若者がいました」
と、ここで暮らすYさん(48歳)夫妻が話すのも頷ける。
Y邸があるのは名古屋市の住宅街。美しく区画整理されたエリアで、南は交通量の少ない道路に接し、東は5階建てのビル、西は3階建ての住宅に挟まれた、間口7m、奥行き21mの敷地だ。現在、名古屋で父親の仕事を継いでいるYさん。かつては東京でクリエイティブな仕事に就いていたが、11年前に名古屋に戻ってきた。
最初は東京時代のようにマンション住まいだったが、お嬢さんが小学校に上がる際に一軒家を建てることに。前職では、才能ある多くの若者にチャンスを与えてきたYさん。家作りにあたって、地元愛知を拠点とする何人かの若い建築家に声をかけていた。ところが、東日本大震災が起きる。家族のため安全性を優先させ、ハウスメーカーと契約する直前まで話を進めるが……。最後にどうしてもと奥さんを説得し、気になっていた建築家の、栗原健太郎さんたちにプランを求めたのである。
栗原さんとパートナーの岩月美穂さんの2人が主宰するスタジオ・ヴェロシティは、愛知県岡崎市を拠点とする建築事務所。詩的で非現実的な印象を与えるデザインでありながら、機能や環境についてもしっかりと考えたうえで、独自の世界観を作り上げているのが特徴だ。今では専門誌の表紙を飾ることも多いが、当時は僅かな住宅と数軒の美容院を手掛けていた程度。それでも栗原さんの才能に感じるところがあり、この若者に声を掛けた。
からの記事と詳細 ( 部屋から部屋への移動は橋で? 「凄い家をつくりたい!」という施主の要望に応えた建築家の非現実感いっぱいの ... - ENGINE WEB )
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