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Wednesday, February 26, 2020

クックパッドが不動産領域の新事業、理想のキッチンを軸に部屋を探せる「たのしいキッチン不動産」公開 - TechCrunch Japan

料理レシピサービス「クックパッド」などを展開するクックパッドは2月27日、理想のキッチンから部屋を探せる不動産情報サイト「たのしいキッチン不動産」をリリースした。

たのしいキッチン不動産は、住宅のキッチン環境をより良くすることを目的とした「たのしいキッチン」事業の第一弾サービスという位置付けだ。同サービスはグッドルームと提携して提供。まずは東京都内の一部地域(渋谷区、新宿区、目黒区、品川区、世田谷区、その他)からスタートし、対象エリアを順次広げていく計画だという。

部長としてたのしいキッチン事業部を牽引するのは、2018年8月にクックパッドが買収したウミーベの創業者でもある渡部一紀氏(界隈ではカズワタベという名前の方が知られているかもしれない)。渡部氏は「クックパッドやクックパッドマートは自宅に料理をするための環境が整っていることを前提としたサービス。料理を楽しむ人を増やすためには、その人たちが快適なキッチンのある住宅を見つけられるような仕組みが必要だと考えた」と不動産領域で新サービスを始めた背景を語る。

細かいキッチンスペックごとに物件検索、独自のキッチンスコアも

一言で紹介すると、たのしいキッチン不動産は「キッチン設備を軸に物件が探せる不動産情報サイト」だ。基本的な構造は引越しの際などに多くの人が使った経験があるであろう物件検索サイトと同じで、条件を入力すると該当する物件をリストアップできる。要は非常にシンプルなサービスだ。

ただありそうでなかったのが料理好きな人をターゲットとして、キッチン設備に焦点を当てていること。「3口コンロ以上」「魚焼きグリル付き」「大型冷蔵庫対応」「広々調理スペース」「広々シンク」など、かなり細かいキッチンスペックごとに物件を絞り込める。

物件ページではキッチン全体だけでなく設備や収納の中身の様子がわかる詳細写真を複数枚掲載し、調理スペースの広さやシンクの大きさなどの情報も記載。さらにユニークな取り組みとして、各物件ごとに「KiT(キット)」という独自の“キッチンスコア”が算出されている。

このスコアは調理スペースの広さや収納力などを基にキッチンの充実度を数値化したもの。ユーザーにとってはキッチンの総合力をひと目で把握したい場合に便利な指標となっていて、スコアの高い順に物件を並び替えることも可能だ。

「キッチンの重要度が高い人にとって、キッチンで物件を選ぶための基準となる指標が存在しなかった。指標があればそれを使って気になる物件を比較したり、スコアが高い順から物件を探したりといった使い方もできる」(渡部氏)

現時点では掲載物件数もかなり限られているし、「SUUMO」を始め他社サービスの方が自分にとっては使い勝手がいいという人も少なからずいるだろう。

一方で「SUUMOのようになんでも載っているサイトではないけれど、料理を楽しみたい人にとっては1番満足できるサイトを目指している」と渡部氏が話すように、物件を探す際にキッチン環境を重要視している人にはかなり響くサービスと言えそうだ。

料理を楽しみたい人が自分に適した住宅を見つけられる場所へ

近年、未婚率の増加や核家族化の影響などから単身世帯が増加していて、2040年には単身世帯の割合が約40%に達するとの予測もある。

単身世帯用の賃貸住宅でネックになるのが狭い調理スペースだ。特に都内の単身世帯向け賃貸住宅では約4割が延べ面積29m²以下。キッチンはまな板も置けないほど調理スペースが狭かったり、コンロが一口しかなくて同時調理が難しかったり、 調理器具や食器を収納するスペースが少なかったりといったように、料理しづらい環境であることも多い。

東京圏への人口集中や単身世帯の増加が進めば、不便なキッチン環境の住宅に住む人がさらに増えることも予想される。そうなれば料理を楽しむ人も減り、クックパッドにとっても望ましい状況ではない。

渡部氏は新規事業を考えるにあたり様々なアイデアを検討したそうだが、最終的に「物理的なキッチン環境」に注目したのはそんな社会背景も影響しているそうだ。

「自分自身、1Kの部屋に住んでいた時はキッチンスペースが狭くてほとんど料理をしなかったが、キッチンにゆとりがある部屋に引っ越してからは料理が楽しくて自炊の機会も増えた。料理を楽しめるかどうかは物理的なキッチン環境によって大きく左右され、その環境が整っていないことが根本的な課題なのではないかと気づいた」(渡部氏)

実際にクックパッドが都内に住む25〜54歳の男女500人に対して実施したアンケートでは、引越し先の物件を選ぶ際に重要視される「家賃」「駅までの距離」「リビングの広さ」といった条件を妥協しても「充実したキッチン環境がある物件を選ぶ」と答えた人が過半数を超える結果となり、物件探しにおけるキッチン環境を重視するニーズが見えてきたとのこと。

別途実施したインタビュー調査でも「キッチン設備や広さが、料理のしやすさに大きく関わってくる」ことや「キッチン利用頻度が高い人は、キッチン環境の良し悪しが日々のストレスに影響するため、物件選びにおいてキッチン環境を重視する」などの傾向が掴めたという。

そこで「キッチンが充実した環境づくり」をテーマに具体的なプロダクトの方向性を模索。すでにキッチンの充実した物件自体はいくつも存在するものの、それらになかなかスポットライトが当たっていない状況に目をつけ、キッチンにフォーカスした物件検索サイトを立ち上げた。

「料理は好きだけど、充実したキッチン環境がないことで諦めてしまう人も中にはいる。まずは料理を楽しみたい人が自分に適した住宅を見つけられる仕組みを確立する。この仕組みが広がれば、キッチンが充実した住宅が目立ちやすくなり、注目されやすくもなる」

「キッチンスコアを作った理由の1つは、部屋探しの際の参考指標として使ってもらえるようになればスコアが高い物件ほど入居者が決まりやすくなり、最終的にキッチンを良くすることが不動産価値の向上にも繋がる可能性があると考えたから。そうなれば不動産住宅会社もキッチンを重視した住宅を供給しやすい。ゆくゆくはスコアを広く流通させたいと考えていて、そうすることで世の中の住宅のキッチン環境をより快適にし、誰もが毎日の料理を楽しめるような社会を目指したい」(渡部氏)

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February 27, 2020 at 09:31AM
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