地球温暖化による影響により、各地で豪雨災害による洪水が増えてきている。
今年7月豪雨による熊本県人吉市と球磨村の被害は記憶に新しく想像を絶するものだった。
このような状況を鑑み、国交省は水害リスクの説明を売買・賃貸の重要事項説明に盛り込混むことを決定し、宅地建物取引業法施行規則の改正が行われ、8月28日から重要事項説明書での説明が義務づけられた事は、2020年8月2日の健美家ニュースでも取り上げた。
従来から土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域、造成宅地防災区域ではその説明義務があったが、この改正によって市町村による水害ハザードマップでの説明義務が加わるのだ。
この改定については、売買時の重要事項説明が注目されがちだが、筆者が注目するのは賃貸での重要事項説明である。
アパートを見学して、「おしゃれな内装で盛り上がり、家賃もOK!」いよいよ申込みをして契約と言う時に、水害ハザードマップの説明が待っている。
「えーここ浸水深3mも!」なんてなったらどうだろうか?
今まで入居を決めようとしていた入居希望者の気持ちも萎え、「違うエリアで探す」ケースが出てくる事が予測されるのだ。
しかもハザードマップ上で、「もしかしたら浸水するエリアである」事と、「過去に浸水したエリアである」事は、大きな違いである。
これは札幌市のハザードマップだが、中央区や北区は海抜高度が低く豊平川が氾濫したら洪水で浸水する可能が高いことは、多くの人が知っている。
しかし豊平川が氾濫して、そのエリアが浸水したのは、「500年に一度の洪水」と言われた、「昭和56年洪水」で約40年前の出来事である。
この時の被害は死者1人、負傷者1人、家屋全半壊13戸、床上浸水1,942戸、床下浸水14,613戸、田畑冠水4,214ha、河川被害209箇所、道路被害159箇所、その他公共施設被害463箇所の記録が残っている。
しかしながら、既に約40年経過した洪水被害を今、気にする人は殆どいない。
しかし近年の冠水被害にあったエリアについては、記憶に残っているものである。
札幌の代表例が「望月寒川」である。この「望月寒川」は豊平区から白石区の住宅街を流れる河川で、2000年〜2014年にかけて4回もの浸水被害が発生しているのだ。
2014年の大雨時の避難勧告エリアはこうだ。
【白石区】望月寒川浸水区域(栄通1丁目、菊水9条4丁目、菊水元町6〜9条、川北、中央1〜3条、東札幌1〜6条、南郷通1丁目、米里1〜5条、北郷1〜9条)月寒川浸水区域(栄通14〜15丁目、菊水元町5条〜9条1〜4丁目、川下、川北1〜5条1〜3丁目、東米里、南郷通14〜15丁目、平和通10〜16丁目、米里1〜5条1〜3丁目、北郷2〜9条、本通14〜16丁目)【豊平区】望月寒川浸水区域(月寒西1条2〜3丁目、月寒西地区、月寒中央1〜2丁目、月寒東1〜2条1丁目、西岡1条3丁目、美園1〜8条、平岸7〜8条、豊平1条10〜12丁目)、月寒川浸水区域(月寒東1条16丁目、5条14丁目、西岡4条7、8丁目、福住1条1、8丁目) となっている。
それを重要事項で話をしなければならなくなったという事だ。
特に区役所が新築されて、非常に人気の高い「白石駅」エリアでは、地下鉄駅至近にこの川が流れていて過去に浸水が実際にあったエリアなので、入居希望者は躊躇するかもしれない。
■洪水対策事業で改善
このような状況の中で、実際に冠水被害にあったエリアでは、洪水対策工事が進んでいる。
望月寒川は市街地を流れているため、河道拡幅による河川改修には限界があるので、北海道が整備を進めている放水路などと組み合わせて、札幌市が流域貯留浸透事業を実施することにより、治水安全度の向上を図っているのだ。
札幌市に聞き取りを行った所、計画した36箇所の貯留施設の内、2020年9月現在で35箇所が完成している。
この貯留浸透施設とは、雨水を地中に浸透させたり、一時的に貯留して徐々に流すことによって下水道・河川への雨水流出量を抑制するものである。
また先程触れた北海道が進めている放水路計画もある。
このトンネルの工期は平成26年から令和元年10月までの予定で、望月寒川の流量は最大1/10になると見込まれていた。
しかし北海道に確認したところ、完成が遅れており供用開始は2021年の9月頃になる見込みであるとの事だ。
■自身の物件を「重ねるハザードマップ」で調べる重要性
物件の場所は後から変えることはできない。しかしながら、対策工事によって洪水のリスクは減ってくる。
不動産業者の重要事項説明では不確かな情報は載せられないし、その説明をしてもし洪水被害などがあったら大問題なので、おそらくこの説明はできないだろう。
だからこそ、オーナーが空室にパンフレット等を置くなどして入居希望者に掲示する事によって、少しでも不安を和らげることができ、同時に信頼性がアップするのではないだろうか。
今回は札幌市の事例を紹介したが、全国各地でこのような洪水対策工事が行われているので、自分の所有物件が、水害想定エリアなのかどうかは、自身で調べておくと良い。
その時には「重ねるハザードマップ」が確認しやすいのでお勧めである。
重要事項説明では既に洪水リスクについての説明義務が始まり、今後の部屋選びの一つの基準になるので、大家としては一通り調べておいた方が良いのではなかろうか。
執筆:J-REC教育委員 原田哲也
【プロフィール】
2010年より、一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)の北海道支部を立上げ、不動産実務検定の普及に尽くし、多くの卒業生を輩出。2018年よりJ-RECのテキスト編集、改定などを担当する教育委員に就く。
また自身が主宰する北海道大家塾は既に62回の開催を数え、参加人数も述べ3700人を超える。
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September 12, 2020 at 04:06AM
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