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Friday, June 25, 2021

長谷川館長のトークシリーズ「未来支度の部屋」 21美 設計したSANAA - 中日新聞

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長谷川祐子館長=金沢21世紀美術館シアター21で(撮影・池田ひらく)

長谷川祐子館長=金沢21世紀美術館シアター21で(撮影・池田ひらく)

 新たに就任した金沢21世紀美術館の長谷川祐子館長がゲストと語り合うトークシリーズ「未来支度の部屋」が今月、同館で始まった。初回は21美を設計し、その後飛躍した妹島和世さんと西沢立衛(りゅうえ)さんによる建築家ユニットのSANAA。「建築の未来」をテーマにしたトークで、立場を超えた個人のつながり、環境、生命力、過去とのつながりなどのキーワードが挙がった。(松岡等)

 妹島さんと西沢さんは一九九五年にSANAAを設立。21美のほかに、Dior表参道、Rolexラーニングセンター(スイス)、ルーブル美術館分館のルーブル・ランス(フランス)などを手掛けている。二〇一〇年には建築界のノーベル賞ともいわれる「プリツカー賞」を受賞した。

 構想段階から21美の開設にかかわった長谷川館長は「美術の専門家を建物をつくる段階から入れた全国的にもまれなケース」と指摘。妹島さんらが「公園のような美術館」として提案し、それをどのように具体化していったかを、図面や模型、建設時の写真などを示しながら解説した。

 例えば自然光を取り入れる際にも西沢さんは「曇りの日が多い北陸の天候とおなじ空間を求めた」といい、妹島さんは「曇りでも美しい光で、館外の人が中を感じられるようにした」と。円形で周囲をガラスにしただけでなく、細部にさまざまな工夫を施したことを紹介した。

 この日は、21美に準備段階から参加し、学芸員を経て、現在は十和田市現代美術館(青森県)館長の鷲田めるろさんが会場から参加。展示室が通りに点在するという形態の同館を手掛けた西沢さんは「21美からの展開」と説明した。

妹島和世さん=金沢21世紀美術館シアター21で(撮影・池田ひらく)

妹島和世さん=金沢21世紀美術館シアター21で(撮影・池田ひらく)

◇妹島さん 環境の一つに入り込みたい

 また、21美の使われ方について二人は「想像以上の驚きだった」と声をそろえた。西沢さんは展示室内で別々の音楽が同時多発的に奏でられた演奏会や、21美ができて以降に市内のあちこちにできたギャラリーで呼応した展示が展開された効果を強調した。

 世界的建築家となった妹島さんは、建築の未来を問われ「環境の中の一つとして建築が入り込んでいくようなものでありたい。形がないようなものであったり、絶対壊れないというのではなく風が吹いたら緩んじゃうような」と。一方で21美建設時の行政、美術、設計、施工の各チームの協働を挙げながら、「自分はこう歩きたい、体験するんだというそれぞれが当事者であるあり方で建築がつくられ、使われるのがいい」と話した。

西沢立衛さん=金沢21世紀美術館シアター21で(撮影・池田ひらく)

西沢立衛さん=金沢21世紀美術館シアター21で(撮影・池田ひらく)

◇西沢さん つながりや「生命力」考える

 西沢さんは「生命的なものというテーマは避けられない」とした上で、「歴史、過去とのつながりは我々を勇気づけ、強くする」とも。街並みが個々の家のかかわりから生まれていることを例に「そこでは全体概念の中で個がつながっている。形だけでなく、建築が生命力を持つというのはどういうことかを考えるようになった」と語った。

 トークは二カ月に一度のペースで開催予定。三年後の開館二十周年を見据え、今後の美術館やアートのあり方についてさまざまな分野のジャンルのゲストを迎える。八月の次回は俳優の森山未来さんを招く予定という。

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