
今春、引っ越しをした。
それまで住んでいた団地は、家族3人で暮らすのに狭すぎるわけではなかったと思う。しかし、物があふれ、本や衣服、使えないプリンターなどが食卓の半分を占領していた。床は物を片付けないと掃除機がかけられない。うんざり。
新居ではインテリア雑誌のような暮らしをと夢見て、荷造りしつつ断捨離を決行。が、なかなか進まない。昔の取材ノートは開くと当時を思い出し、しっぽがカビた縫いぐるみも捨てるに忍びない。
私に素敵(すてき)ライフは無理なのかと落ち込んだ時、団地のママ友から意外な言葉をかけられた。「いつもうちの子がお邪魔してごめんね。『なんか落ち着くんだ』って言うのよ」と。
確かにわが家は近所の子どもたちの出入りが多かった。カオスな部屋を見られるのは恥ずかしかったが、子どもたちは「汚したらどうしよう」と緊張せず遊べて居心地がよかったのかも。気持ちが少し楽になった。
新居へ移って1カ月。まだ行き場の決まらない物たちが、相変わらず床の上で待機している。
(柏崎智子、50歳)
◇
厚い曇り空でも雲の向こうには必ず青空がある−
そんな思いを胸に、記者が暮らしの出来事を綴(つづ)ります。
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