女優上久保慶子が、来月8日に初日を迎える舞台「沙也可~海峡を越えた愛~」(東京・渋谷区文化総合センター大和田伝承ホール、12日まで)に出演する。
劇作家倉科遼氏(71)が製作総指揮・原作・脚本を担当。400年以上前、豊臣秀吉の朝鮮出兵に従軍した雑賀孫六(田村幸士)が離脱して、現地の娘・金美姫(夕貴まお)と結ばれ、朝鮮人・沙也可となって戦う愛の物語。上久保は、35歳の韓国女性・姜恩珠(カン・ウンジュ)を演じる。
上久保は「村の人たちと秀吉軍を離脱した兵士たちが理解し合う中でも、身内を殺されているので恨み続けている、非常に気の強い役です」。コロナ禍で出演作の中止が相次ぎ、今年の舞台はこの作品だけ。6月から稽古が開始された。「稽古は広い場所を借りて、部屋を2つに分けてやりました。そしてシーンごとに、出演者の集合時間を分けて稽古をしてきました」と説明した。
「難しかったのは、日本人同士、朝鮮人同士、そして日本人と朝鮮人、これらのシーンを全て日本語のせりふで演じることでした。自分の出番以外のシーンを見学できなかったので、最初は違和感がすごかったんです。通し稽古をやった時に初めて理解できたことがありました」と振り返った。
昨年10月に上演された作品の再演だが、上久保は今回が初参加。「昨年は男の物語という面が強かったそうなんですが、今回は脚本も書き直されて愛も深く描いています。大変な状況でですが、安心して楽しんでいただけるよう最大限対策をして公演に臨みます」と話している。
◆「沙也可~海峡を越えた愛~」 400年以上前に実在した人物がモデル。戦国時代、日本全国統一を成し遂げた豊臣秀吉は、東アジアの覇権を握るために30万人の兵隊を朝鮮半島に送り込んだ。
秀吉の2度に渡る朝鮮出兵「文禄の役」と「慶長の役」に、秀吉に滅ぼされた雑賀一族の再興を図るため、紀州雑賀衆の頭領の雑賀孫六(田村幸士)は鉄砲衆を率いて従軍した。しかし大義のない戦に疑問を抱き日本軍を離脱する。雑賀一族は朝鮮軍に加わり、鉄砲の技術を伝え秀吉軍との戦いに大きく貢献して英雄となる。
日本人の孫六が、朝鮮人の沙也可となり、1人の朝鮮人女性(金美姫=夕貴まお)と愛し合う物語を中心に描く。
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【小谷野俊哉】
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