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Friday, June 10, 2022

ライブ演奏で実証!部屋に置くだけで音が劇変する「AGS」マジック| - @DIME

berseterulah.blogspot.com

■連載/ゴン川野のPC Audio Lab

ルームチューンで音に磨きをかける

最終的にオーディオの音は部屋で決まる。これは昔から言われていることだが、専用のリスニングルームなど夢のまた夢。そんなオーディオマニアの夢を実現したのが、PCAudioLabの試聴に協力してくれているS氏である。響きのいいリスニングルームを占有するのはもったいないと2019年からライブを開催して、最近ではハイレゾ録音まで始めている。

K-stanza」と名付けられたライブスペースでは、現在も定期的に演奏がおこなわれている。ここにルームチューニング材のAGS/Acoustic Grove Systemを導入すると音はどう変化するのか、というのが今回の課題である。オーディオの試聴だけでなく、5月8日に開催されたボーカル、井筒香奈江さんの「Laidback K-STANZA 再始動ライブ」でも効果を検証した。

ANKHかSYLVANかそれが問題だ

森の中の空間を感じさせるルームチューニング材、AGSを具現化させた製品が、日本音響エンジニアリングのANKHアンクとSYLVANシルヴァンである。実は我々は同社の試聴室Sound Laboratoryを訪れたことがあり、その驚くべき効果は体験済みなのだ。しかし、あの試聴室は8角形の部屋の周囲の壁全面にAGSがそびえる非現実的な空間であり、自宅の環境とは違い過ぎるという印象を受けた。

今回はS氏のリスニングルームにコーナータイプの「ANKH-II CO15」と「SYLVAN」を持ち込んで設置、その効果を耳で確認できる手はずになっている。試聴するのは大型で壁面用に設計されたANKHと、それよりコンパクトなSYLVANである。日本音響エンジニアリングのスタッフが、部屋のサイズを見て、これは吸音材なしの「ANKH-II CO15」をコーナーに設置するのがいいと即断。現状の部屋の音を確認してから、アンクが搬入された。高さ150cm、重さ約37kgと大型なので2人がかりで慎重に運ぶ。設置は置くだけで、特に測定などもなく位置の微調整で完了した。

リスニングルームのスピーカーはDIATONE「2S-3003」。1990年にハイビジョン時代のスタジオモニターとして、主にNHKに納品されたプロ機材で当時ペア300万円というハイエンドモデルだ。低音はタイトで、モニターらしい硬質でややクールな音色を聴かせてくれる。

リスリングルームは天井高2.6mあり、20人が入れるキャパシティがある。床も壁も天然木を使用

長さ150cmのコーナー用アンクが運び込まれた。置くだけでセッティング完了

太さの異なる木の柱によって構成されるアンクはタネも仕掛けもないように見える

ANKHかSYLVANの両使いで効果も倍増!

「ANKH-II CO15」が置かれた状態で同じ曲を再生すると、ボーカルの音像定位がセンターにピシッとシャープに定位することに気付く。ピアノやウッドベースなどの楽器の輪郭もクッキリとして、その位置が明確になる。変化は音場感だけでなく、音のフォーカスが合ってくるので、音楽全体の解像度も上がってくる。オーナーのS氏もこれは買いだねと早くも決断したようだ。

これだけこだわって作ったリスニングルームでも一聴して分かるほど効果があるとは予想外である。せっかく持って来たので、正面の壁に「SYLVAN」も追加して合計2セット4個のAGSを設置した状態で音楽を再生する。今度はステージに奥行き感が出た。30年以上も前のスピーカーとは思えない音場感である。まあ、スピーカー以外は最近のシステムでハイレゾ音源を再生しているため、ハードウエア的な弱点は少ないと思われる。私はこの部屋が出来る前から、左右のスピーカーの間にオーディオ機器を置くことに反対だったのだが、「SYLVAN」の追加によってそれらの悪影響が抑えられたのかもしれない。

「ANKH-II CO15」と「SYLVAN」の両方を置くとさらに音場感が改善され3次元的な広がりがでた

「SYLVAN」は構造が簡易化されハイコスパに仕上げられた製品で高さ140cm、重さ約24kg

心地よい空間で始まったLaidbackのライブ

ピュアオーディオで効果が実証された「ANKH-II CO15」を設置したまま、今年で結成20周年を迎えるLaidbackのライブをおこなう。Laidbackは井筒香奈江さんが「Just The Two Of Us」のレコーディングをきっかけに生まれたトリオユニットで、ピアノ藤澤由二さん、エレキベース小川浩史さんの3人で構成されている。そのアルバムはCDだけでなく、ダイレクトカッティングのアナログディスクからハイレゾ音源まで多岐に渡り、音質的にも高い評価を得ており、メーカーや販売店の試聴盤として耳にされた方も多いだろう。

普段はライブハウスでの演奏が多いため、暗騒音レベルが高く、自分の声をモニターするための返しの音が聞き取りにくいという井筒香奈江さんだが、「K-stanza」はすごく静かで余計な音が聞こえず、返しのモニターの音が良く聞こえるため気持ちよく歌えると言う。もちろんリスニングルームという環境なのでS/Nの面では有利だが、音質の良さはルームアコーステックが決め手。「ANKH-II CO15」はこの部屋の豊かな響きを減らすことなく音場感を向上させ、クリアーなボーカルの再現に一役買っているに違いない。AGSはリスニングルームだけでなくライブハウス、ホール、劇場にも使われている。また日本音響エンジニアリングは、これを応用した「Meleon」と呼ばれる音響アイテムを開発して、オフィス、会議室、レストランなどで話しやすい空間作り追求している。

私がリハーサルを聴いて感じたのは、ピアノの響きが豊かで美しい、もちろん井筒香奈江さんのボーカルはCDよりもリアルでオンマイクに聞こえる。これに対してベースの音はキレイすぎるという印象を受けた。これには部屋以外の原因があり、ギターアンプの音をマイクで拾って、メインのスピーカーで再生するという新たな試みが影響した。ライブ本番ではDIATONE「2S-3003」に気を使った小川さんがギターのトーンコントロールのTrebleを全開にしなかったり、ギターアンプとメインスピーカーから出る位相のズレのため音量バランスを変えたりしたためライブハウスのような迫力があって歪んだ音にはならなかったのが残念。今後の課題となった。

20人の観客の方も、「K-stanza」の音質の良さに酔いしれてくれライブは大成功。AGSもその成功に寄与してくれた。部屋が音を決めることを改めて実感した1日になった。音質最優先のライブの存在は珍しいく、オーディオファンの皆さんも機会があれば、一度体験してみてはいかがだろう。

今年、結成20周年を迎えたLaidbackのメンバー3名と「K-stanza」マスコット犬のセツ

ピアノ藤澤由二さん

ボーカル井筒香奈江さん

エレキベース小川浩史さん

文/ゴン川野

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