抜群の歌声と幼少期から培ってきた昭和歌謡のディープな知識を活かし、活躍の場を広げている
。現在はムード歌謡漫談という新ジャンルを確立し、『阿佐ヶ谷アパートメント』(NHK)、『タブレット純 音楽の黄金時代』(ラジオ日本)などテレビやラジオ番組で唯一無二の存在感を発揮している。
では、自ら「のび太みたいだった」という幼少時代や介護職での苦労、「和田弘とマヒナスターズ」のボーカルに抜擢された裏話、スナックでの修行生活、お笑い進出の背景などを聞いた。後編では、昭和の世界観を愛する理由やプライベート生活の謎に迫った。 【前回記事を読む】⇒
今の時代、昭和歌謡に込められているようなドラマ性がそもそも生まれなくなっていると思います。例えば、石川さゆりさんの名曲「津軽海峡・冬景色」では青函連絡船が描かれていますが、今や青函連絡船は廃止され、新幹線ですぐに青森から北海道に行ける。サーカスさんの曲「アメリカン・フィーリング」では「あなたからのエアメール 空の上で読み返すの」と歌われていますが、エアメールも激減し、みんなメールでメッセージを送りますよね。 もはやドラマが生まれない便利な時代になってしまった。昭和の時代には不便だからこそ生まれた感動があったと思うんです。今の若い世代の間でも、アナログならではのドラマ性への憧れがあるのではないでしょうか。
僕は便利に頼らない人生もアリだと考えています。そういった意味で、スマホを持たず、ずっとガラケーを使ったりしています。暑かったらすぐクーラーを付けるのではなく、喫茶店に行って涼みながらマスターと仲良くなったり。風呂なしアパートに住んで、銭湯で出会った常連のおじさんと知り合い、昔のお話を聞いたり……。そういう生活を送ったほうが人情味を感じられ、心の栄養にもなると思うんです。 最近、昭和歌謡を聴く方が増えています。ただ曲を聴くだけでなく、昭和歌謡の世界観を生活に取り入れてみるとよいのではないかと。
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