大相撲の九重部屋の20歳未満の幕下以下力士の飲酒問題を巡り、日本相撲協会が各部屋の師匠に注意喚起したことが26日、関係者への取材で分かった。

八角理事長(元横綱北勝海)とコンプライアンス部長の花籠親方(元関脇太寿山)の連名での通達で、法律で禁止されている20歳未満の飲酒と喫煙の防止を徹底するよう呼びかける内容。

同協会は九重部屋に所属する20歳未満の幕下以下力士が秋巡業中に外出先で飲酒したため、当該力士、同席していた成人の兄弟子、師匠の九重親方(元大関千代大海)の3人を謹慎処分と科した。いずれも処分期間について、同協会は「現在行われている秋巡業が終了するまで」と説明しているが、関係者によると、当該力士は同親方の行き過ぎた指導などで実家に戻り、地元理髪店でまげを切ってしまったという。

日刊スポーツは26日、日本相撲協会を通じて花籠親方に文書によって4つの質問を行った。<1>九重親方の行き過ぎた指導に対する見解は「そのような事実はございません」、<2>再発防止策については「各相撲部屋には未成年の飲酒について注意喚起しました」、<3>問題の所管の文部科学省への報告は「しておりません」、<4>今回の問題を受けて記者会見を行う予定は「ございません」の回答だった。九重親方に対しても行き過ぎた指導の事実関係などを同じく質問したが、回答はなかった。

角界では過去にも酒席の不祥事が相次ぎ、17年秋巡業では当時横綱の日馬富士による暴行、同年冬巡業では当時立行司の40代式守伊之助による若い行司へのセクハラなどがあった。ある親方は「形だけの注意喚起では再発防止は到底難しい」と語気を強めた。

◆秋巡業中の飲酒問題 日本相撲協会が24日、九重部屋所属の20歳未満の幕下以下力士と師匠の九重親方に謹慎処分を科したと発表。25日にはその兄弟子も謹慎処分を受けたことが分かった。14日夜に名古屋市内へ食事に出かけ、翌日の朝方まで飲酒。15日にタクシーで愛知・大府市の巡業会場入りした際、当該力士は急性アルコール中毒で病院に搬送された。大事には至らなかったが、19日に同親方、兄弟子とともに東京に呼び戻され、同協会で事情聴取を受けた。その後、部屋を飛び出して地元の理髪店でマゲを切った。