天井が高いと空間の認識や顧客の行動に影響を与える
読者の皆さんは「カテドラル効果(Catedral Effect)」はご存じでしょうか。
カテドラル効果とは、天井が高い部屋では独創的な思考が高くなり、その逆で低い天井の部屋では詳細で具体的な思考を深めやすい現象を意味します。
天井の高低は人の行動・思考に影響を与えるだけではありません。
商品評価の際に評価者が注目する部分にも違いを生じさせます。
天井が高い部屋では、商品を評価する際に、商品の特長に目が行くようになり、一方で天井が低い部屋では商品の特定の機能に注目するようになるのです。
また滞在時間にも差が生じ、天井が高いと顧客が長く滞在し、天井が低いと滞在時間が短くなるので回転率を速くすることができます。
それゆえ、建築業者をはじめイベントプランナーや不動産業者は、それぞれの目的に沿って天井の高さに気を配るそうです。
具体的な例を出すと、モデルハウスや手術室などがあります。
モデルハウスでは顧客に「ここに住んだらどういう生活ができるだろうか」と想像力を働かせる必要があるため高い天井を、手術室では複雑な作業が必要になるため低い天井が適しているとされます。
しかしこの一部の業界で当たり前とされている、天井の高さが顧客の思考や行動を変えるという「カテドラル効果」には科学的根拠があったりするのでしょうか。
どうやら天井の高低や部屋の広さで、人間の中で促進される「概念」に違いが生まれるようです。
2016年の「Journal of Problem Solving」に投稿された、米カーネギーメロン大学のジョエル・チェン氏らの研究チームは、部屋の天井が高く広い場合と天井が低く狭い場合で創造性が促進されるのかを検討しました。
彼らは参加者を以下の2つのグループに分け、日常的に使う物体(たとえばグラス)の独創的な用途を考える創造性を測る課題をこなしてもらいました。
大きい部屋グループ:天井が高く広い部屋(縦4.8 m×横9.1 m×高さ4.8 m)で実験を行う
小さい部屋グループ:天井が低く狭い部屋(縦2.4 m×横4.8 m×高さ2.4 m)で実験を行う
そしてこの参加者が考えた課題の答えを、別の参加者にどれだけ創造性に富んでいるか、また実用性は高いかを評価してもらいました。
実験の結果、大きい部屋にいた人のアイデアは独創性に富んでいると評価された一方で、小さい部屋にいた人のアイデアは実用性に富んでいると評価される傾向にありました。
この結果は、前述した天井が高い部屋では独創的な思考が、低い天井の部屋では詳細で具体的な思考が促進される「カテドラル効果」が実際に発生してることを科学的に裏付けるものと言えるでしょう。
しかしなぜ天井が高く広い部屋は創造性を高めるのでしょうか。
それは空間的な広がりが「自由」の概念を促進し、制限のない発想につながるからだと考えられます。
からの記事と詳細 ( 天井が高い部屋の方が独創的なアイデアが出る!ただ狭い部屋にも利点が… - ナゾロジー )
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