桜蔭・雙葉・豊島岡女子・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、保護者から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの学習メソッドが凝縮されたシリーズ累計3万部突破の『女の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「女の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。
できる女の子ほど「自立心」は強くなる
男の子は、親が見ていないと好きなことをやってしまうし、まだ幼くて寂しがり屋の一面があるため、圧倒的にリビング学習が向いています。
しかし、精神年齢が高い女の子には、一人になれる学習の場が必要です。
女の子は小学校高学年にもなると、お風呂も一人で入りたがったりします。体が変化しているからという理由だけでなく、普段は周囲に合わせ、周囲の目を気にして過ごしているために、「一人になる時間」がほしいからです。
勉強においても同様です。家族の応援を感じられるリビングに加え、自分の部屋にこもって学習したがる子も増えます。また、それができる女の子は伸びる傾向にあります。
リビング学習がいいのは、親や兄弟がそれぞれ自分のことをしていて、それが程よいBGMとなって子どもに安心感を与えてくれるからです。寂しがり屋の男の子には、このBGMが功を奏します。
しかし、女の子は「うるさい」と感じイライラしてきます。ましてや、共感してくれているはずの親が、自分が勉強している横で野球中継など見ていたら、「私は頑張っているのに、なぜ?」となりかねません。
今は「リビング学習ブーム」で、それを子どもに求める親が増えています。
しかし、環境を大事にする女の子を、ごちゃごちゃした狭いリビングで無理に勉強させるのは逆効果だと私は思っています。
小学校高学年の女の子は、できる子ほど自立心も強くなっています。信頼関係が結ばれた親としては、子ども本人の意思を尊重し信じてあげる姿勢が大事です。女の子には、リビング学習を強要することなく、自分の部屋でもどこでも自由に選ばせてあげましょう。
ちなみに、部屋に閉じこもって勉強していた女の子が、入試目前になるとリビングに出てくることがあります。それは、試験が怖くなってくるからです。
その場合には、不安や緊張を理解し、リラックスできる環境をつくってあげましょう。
【著者からのメッセージ】
おかげさまで、『女の子の学力の伸ばし方』(6刷) 、『男の子の学力の伸ばし方』(7刷)が、それぞれベストセラーとなりました。本当に、ありがとうございます。
私は、「進学塾 VAMOS(バモス)」の経営者として、「入塾テストなし・先着順」と生徒を選抜することなく、多くの子どもを難関校へと導いてきました。
「どんな子でも必ず伸びる」 という確信が、私にはあります。こと「伸び率」に関して、私はどこの学習塾にも負けない自信があります。それは単に実績の話だけではなく、再現性のある学習メソッドを取り入れているからです。
具体的には本書のなかでお伝えしますが、学力を伸ばす勉強には、明確なロジックがあると考えています。
多くの人は学力をセンスや才能のたまものだと考えていますが、実際にセンスが必要となるのは、ごく一部の天才同士の戦いに限られます。ほとんどの子どもにとっては、そもそもセンスは必要ありません。
また努力は必要ですが、どれだけ長時間勉強しても、正しい努力でない限り結果がともなわないのは、社会人にとっての仕事とまったく同じです。
本書は、学力が伸びるメカニズム、「わかる」ことのブラックボックスを可視化しながら、どんな子でも学力を伸ばせる考え方や手法をお伝えします。
•勉強はしているのに、どうしても子どもの成績が上がらない
•子どもの中学受験を考えていて、もっと効果的な勉強法を知りたい
•受験勉強には反対だが、子どもに将来役立つ学力を身につけてほしい
•子どもに自分から勉強してもらいたいと思っている
•自由放任で育てたら、子どもが全然勉強しないと悩んでいる
•夫婦間で、子どもの勉強への取り組みに熱の違いがある
こうした方に、本書はとくにおすすめです。
多くの人は、子どもの学力を伸ばすために、問題を解く魔法のノウハウや、「センスのいい考え方」を期待するかもしれません。しかし、そうしたものは存在しません。
学力が伸びるプロセスを分解すれば、基礎となる知識の「点」を増やして、それを効果的につなげて「線」にしていくということです。言い換えると、「つながる」ということが、「わかる」ということです。
算数には問題を解く土台としての「九九」がありますが、実はほかの教科にも「九九」にあたる基礎があります。それを反復トレーニングで学び、基礎同士を上手につなげること。学力が伸びる構造は、センスではなくロジックなのです。
本書では、女の子の学力を伸ばすために、親ができることすべてを紹介しました。
まず、序章で「学力を伸ばす基本的な考え方」をまとめています。第1章では、「女の子の本能的な7つの特徴」について、第2章ではその特徴を活かした、「学力を伸ばす5つの絶対法則」について解説します。
第3章では、「考える力を養う13のコツ」、第4章では、「目標・計画術のテクニック」を紹介します。第5章は、具体的に、算数・国語・理科・社会の成績を効率的に上げる「必修4教科の勉強法」を細かく見ていきます。そして、第6章で女の子が「自主的に学習するための習慣づくり」を、最後の第7章では、「成績を伸ばせる親の習慣術」をまとめていきます。
本書は、あくまで学力を伸ばすための入口に限定していますが、そのために親ができることすべてを1冊で網羅した内容となっています。試せるところから、ぜひ実践してみてください。
子どもたちには、親が考えている以上に潜在的な力があります。
脳のバランスが取れている分、女の子は真面目で守りに入りやすく、型破りな発想が苦手な傾向にあります。しかし、ひとたび失敗を恐れずにトライ&エラーができるようになると、親が驚くほど大きく成長します。
しかも、周囲と調和する能力にも優れているため、社会に出てからも最強の存在となり得ます。
女の子には、男の子と違った面白さがあります。本書が、その能力を引き出す一助になれば、著者としてこれ以上嬉しいことはありません。
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