のれん分けで"拡大"、行列店の創業者が語る
看板メニューのカツカレー(750円)。お客の7~8割がカレーを頼むという(写真:筆者撮影)
昼時の大行列でおなじみの洋食店「神保町キッチン南海」が6月26日、長い歴史に幕を下ろす。入居するビルの老朽化が理由で、7月中に現料理長ののれん分け独立店が近所にオープンする予定だが、趣のある現店舗での食事はもうできなくなる。
なぜ同店は、カレー名店が集まる神保町でも屈指の繁盛店となり、多くののれん分け店を世に送り出せたのか。創業者である南山茂氏(90)の話をもとに、その理由を4つほど挙げてみたい。
1日に約400皿出る「黒いカレー」
まず1つめとして挙げられるのが、神保町キッチン南海の代名詞でもある「黒いカレー」だ。ルウはかなり濃い褐色で、深いコクがあるが意外とサラサラしている。これにロースカツをあわせた「カツカレー(750円)」が看板メニューで、1日約500人の客のうち、7~8割がカレーを頼むという。
同店の創業は1960年。創業の地は飯田橋で、店名は「カレーの南海」だった。
「子供の頃からカレーが大好きでした。でも、母親が作るカレーが、どうも粉臭くてね。その粉臭さを抜くために、小麦粉とカレー粉をじっくり炒めたら、色が黒くなってしまった。自分は料理をきちんと習ったことがないから、自分好みのカレーを独学で研究してみたら、たまたま人にウケた。じゃあそれを押していこうということで、今の商売が始まったんです」(南山氏)
ルウ作るには、まずスパイスと小麦粉を焦げ目が付くまで丹念にローストする。その後、さまざまな食材とともに寸胴鍋で「じっくり火入れしてから冷ます」という工程を3回繰り返すことで、独特の色とコクが生まれる。食べれば食べるほどハマっていく人が多い同店のカレーの中毒性は、この独自製法によるところが大きいのだろう。
料理長の中條知章さんは「じっくり焙煎し、余計な糖分も入らないから、胸焼けが起きにくい。それにより、また次も食べたいと思っていただけるのかなと思います」と話す。
また、カツカレーのカツにもこだわっている。パン粉は目が粗めでバターが含まれており、コクのあるカレーとよく合う。加えて肉を叩いて薄くしてあるので短時間でカラッと柔らかく揚がり、それを人差し指の幅ほどに細くカットするため、スプーンで楽に切れる。爽やかな千切りキャベツも、いいアクセントになる。
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June 23, 2020 at 03:55AM
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