調理設備をしつらえ、その場で料理を提供するキッチンカーがブームだ。ところが肝心の屋外イベントがコロナ禍で相次いで中止に。そんな行き場を失ったキッチンカー向けに、神戸・元町で店先の駐車場を貸し出すアパレル店がある。キッチンカー側は繁華街の“一等地”を確保でき、アパレル店側も“格好の宣伝材料”になるとのメリットがあり、人気も上々という。(伊藤孝則)
■先月 予約最多に
駐車場を貸し出すアパレル店は、神戸市中央区の「セドル クロージング ストアー」。様々なキッチンカーが入れ替わり訪れ、お昼時にはコーヒーやハンバーガーを買い求める会社員や観光客らが訪れる。
貸し出しは、店主の杉本征治さん(36)が18年春に始めた。きっかけは、その1年前。店の駐車場で観光客らの無断駐車が横行し、「いっそのこと」と家主の許可を得て貸し出すことにしたという。
利用は当初、月に数件程度だったが、コロナ禍の昨夏頃から、キッチンカーの問い合わせが増加。1月は月の半分が予約で埋まり、過去最多となった。
■相乗効果
「イベントが少ない中、いつでも出店できる場所があるのはありがたい」と話すのは、今月の毎週木金などに、駐車場でコーヒーを販売する丸山和紀さん(38)だ。
昨秋から大阪を拠点に移動販売を続け、販売エリアを広げようとしたところ、ネットで店の取り組みを知った。「うまくいけば、定期的に借りたいと思う」
今月はほかにもハンバーガーなどが販売されており、「キッチンカーの物珍しさに足を止める通行人が増えた」と杉本さん。「異業種で手を取り合い、コロナ禍を乗り越えたい」と話す。
■登録車100倍以上
キッチンカーの店主らでつくる関西移動販売車組合によると、2008年の設立時に6台だった登録車数は、20年2月で約650台と100倍以上に増えた。
人気の秘密は最新スイーツやご当地グルメなどが手軽に楽しめること。車体も鮮やかで目を引くデザインが多い。催しの主催者側も「非日常感を演出してくれる」と需要が高まっている。
コロナ禍でも「屋外なので密を避けられる」とあり、昨春の緊急事態宣言明け直後は問い合わせが倍増。人気の追い風となる一方で、現状では肝心のイベント数が復調していない。
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アパレル店駐車場の利用料(終日)は平日1500円、土日祝が2000円。問い合わせは同店(078・335・8459)。
町づくりにも一役買うキッチンカー。近年は支援する自治体も出ている。
神戸市は2019年度からキッチンカーで起業する人に向け、初期費用として最大100万円を補助。中心部の「にぎわい創出」が目的で、これまでに計8事業者が起業している。
更に昨年はコロナ禍の飲食店支援や郊外の「買い物難民対策」としても無償でキッチンカーを貸し出し、スーパーやコンビニの少ない地区に出店してもらう実証実験にも取り組んだ。
東京都や長野県でも飲食店の業態転換に伴う補助金や助成金を出しているほか、「子ども食堂」の密対策や災害時などの活躍が期待されている。
からの記事と詳細 ( 店先のキッチンカー人気 - 読売新聞 )
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