新型コロナウイルスで来店客の減少に悩む飲食店が、車による移動販売「キッチンカー」の事業に乗り出すのを支援しようと、大手食品メーカーが、車両のレンタルから営業する場所の確保など一連の業務を請け負うサービスを始めることになりました。
キッチンカーは、調理設備を備えた移動販売用の車両で、新型コロナウイルスの影響でテイクアウトが広がる中、参入する飲食店などが増えています。
こうした中、大手食品メーカーの「ハウス食品グループ本社」は、飲食店などが新たにキッチンカーの事業を始めるのを支援しようと、一連の業務を請け負う新たなサービスを始めることになりました。
3日は、都内のスペイン料理店がこのサービスを利用して営業を行い、近くで働く人たちが弁当を買い求めていました。
このサービスでは、キッチンカーを貸し出すほか、営業する場所の選定や駐車場の確保も代行し、飲食店側は、初期投資が必要なく利用料を支払うだけでキッチンカーでの営業を始められます。
ハウスでは今後、車両の保有台数を増やし10年後には年間8億円の売り上げを目指すとしています。
新規事業開発部の渡邉裕大さんは「キッチンカーのニーズは高まっているが飲食店が単独で始めるには、初期費用など負担が大きく、食に関わる企業として支援していきたい」と話しています。
キッチンカーの事業には大手の外食企業も相次いで参入しています。
ステーキチェーン「いきなり!ステーキ」の運営会社は、ステーキ専用の調理器具を備えたキッチンカーによる移動販売を先月から都内で始めています。
3日は東京・墨田区のマンションの前で午前11時ごろからキッチンカーの営業を始め、次々と客が訪れていました。
購入した70代の女性は「肉が好きですが自宅では上手に焼くことができず近くに飲食店も少ないので、こういう形で食事が楽しめるとありがたい」と話していました。
ペッパーフードサービスの徳田隆弘次長は「予想以上の反響を感じている。今後、車両の台数も増やしていきたい」と話していました。
一方、ファミレス大手の「デニーズ」は、レストランとしては閉店した東京・渋谷区の店舗の駐車場に移動販売車を出し、店舗の厨房で調理した弁当の販売を先月から始めました。
この会社は、今後は店の駐車場だけでなく、オフィス街などランチの需要がありそうな場所にも移動して販路を広げたい考えです。
デニーズを運営するセブン&アイ・フードシステムズの※スギ谷大樹さんは「感染拡大で来店をためらう人もいるなか、私たち飲食店側は店で客を待つのではなく、みずから客の近くに行くことが必要だと考えた」と話しています。
※木偏に久
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