「清潔感があって、いつもしっかり仕事をこなす人の家が実はゴミ屋敷、なんてことはよくあることです」そう明かすのはゴミ屋敷を専門で清掃する専門業者のスタッフ。彼女、彼らの「汚部屋」を覗いてみると……。 【写真】山のようなゴミであふれた部屋から一転、清掃のプロによるビフォーアフター お弁当の容器、空のペットボトル、空き缶、大量の洋服──。それらが部屋中を埋め尽くしている状況を「ゴミ屋敷」または「汚部屋」と呼ぶ。
専門業者が語るゴミ屋敷の実態
清掃専門業者、『ゴミ屋敷バスター七福神』を運営する、株式会社テンシュカクの新家喜夫代表取締役によると、 「私たちが思っている以上にゴミ屋敷化している部屋は多いんです」 実際にどんな部屋を片づけてきたのか聞いてみると、 「玄関開けたら天井までゴミの山。その上を匍匐前進し、中に入ったことも」(新家さん) においもキツイのではと想像し、尋ねてみると、 「ゴミ屋敷って意外とにおいはしないし、パッと見では虫もいないんです」 と話すのは同社の田中義彦さん。だが、片づけていくと逃げ場を失った虫たちが現れ、壁を上り始める。白い壁はうごめく虫で真っ黒に……。 「作業中、天井からゴキブリがぼとぼと落ちてくることもありますよ」(田中さん) そこまでは比較的よくある光景だとか。そんなプロたちでさえ驚愕した衝撃的な現場を教えてくれた。
プロが目撃した衝撃的な現場
「30代半ばの女性から“妹の部屋を片づけてほしい”との依頼でした」 前出の田中さんはスタッフと現場に入った。玄関を開けてすぐ、ワンルームの部屋は生活ゴミや洋服で腰の高さまで埋まっていた。驚いたのは片づけ始めてからのことだ。 「おしっこが入ったペットボトルが何十本も出てきたんです……」(田中さん、以下同) トイレはゴミで埋もれており使用不可能。そこで妹は空いたペットボトルで用をすませていたというのだ。 スタッフはその中身をバケツに移し、数時間かけてトイレに流したという……。
汚れた部屋の中で飼い猫は置き去りに
「次は賃貸住宅の管理会社から住人がいなくなったと片づけを依頼されたときのこと」 部屋に入ると大量のゴミのほか、あちこちにフワフワした毛玉がいくつも落ちていた。「ぬいぐるみかな」と思っていた田中さん。 風が吹くと毛が舞い上がり、白骨化した複数の猫の死骸が現れた。その周辺には干からびた無数のウジ虫……。 エサも水も与えず、飼い猫を置き去りにして住人はいなくなったのだ。猫たちは餓死し全滅。死体は相当長い年月、その場に放置されていた。人間の身勝手さを突きつけられ、憤りを抑えられなかった、という。 人の死とも直面することもあった。前出の新家さんが語ってくれた。 「ひとり暮らしの弟が行方不明になったから家を片づけてほしいとのお兄様からの依頼でした」 弟の家の中は雑誌、漫画など天井まで本がぎっしり。いわゆる『物屋敷』だった。 「入ったときから妙なにおいがしていましたが……」 予感は当たった。崩れた本の中から依頼者の弟とみられる男性の遺体が発見された。 「数週間前、大きな地震が発生していました。彼は地震で崩れた本の下敷きになって亡くなったと思われました」
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