コミュニティー・プロデューサーの水代優さんに、暮らしを知的に楽しむアイテムを紹介してもらう連載「水代百貨店」。今回のテーマはキッチンウェアです。
自身がオーナーを務めるブックカフェ「Hama House」でキッチンに立つなど、料理も本業の水代さん。そんな水代さんが「料理体験が変わった」と絶賛するアイテムを教えます。
前編は、水代さんが「ここは間違いない」と薦める四つのメーカーの製品についてです。
“丁寧で雑”な料理の相棒たち
誤解を恐れずに言うと、僕、物持ちがいいほうではないんです。キッチンウェアにしても、いろんなものに手を出してはガシガシと手荒く使っちゃう。同じものを長く使い続けるのが性に合わないんです。料理はじっくり時間をかけて作るのが好きなので、「丁寧な雑暮らし」と呼んでいるのですが。
そんな僕にも、ありました。気づいたらずっと愛用し続けていたキッチンウェアが! 雑に扱ってもへこたれないどころか、どんどん手になじんでいく。その上、見た目もおしゃれでテーブルに置いても様になる。そんな、僕の“丁寧で雑”な料理時間に寄り添ってくれるキッチンウェアメーカーを四つ厳選しました。
01. 魚焼きグリルがデイリーユースに一変! 「OIGEN」
トップバッターは「OIGEN」。嘉永5年(1852年)創業の、岩手の南部鉄器メーカー「及源鋳造」が展開するブランドです。
突然ですが、皆さんは魚焼きグリルを使っていますか? 魚を焼いた後に洗うのが面倒だし、洗っても微妙に臭いが残ってしまうこともありますよね。僕は使った後にうっかりそのままにしてしまうことがあって、妻から長く「グリル禁止令」を出されていました。
そんな時に出合ったのが、このOIGENの「焼き焼きグリルぽっちゃり深形」。キッチンの魚焼きグリルにそのまま入る、小ぶりなサイズのグリルパンです。
南部鉄器のすぐれた熱伝導で、焼き魚がおいしく仕上がるのは言うまでもありません。このグリルパンの上に魚を乗せて焼くから、グリル網の掃除が要らないのが大きな魅力。おかげで、水代家では嫌われ者だった魚焼きグリルがデイリーユースに一変! 今では同じグリルパンを二つ買って、魚焼き用とそれ以外で使い分けています。
このグリルパンにキノコ、厚切りのベーコン、アスパラガスを乗せ、塩をパラパラ振って、グリルに入れて、ほったらかしにしてみてください。グリルの過熱防止センサーが作動し、自動で火が消えたら出来上がりの合図。極上のアスパラベーコンに仕上がります。
南部鉄器のシックな黒色は、そのまま器としてテーブルに乗せてもおしゃれなバルのよう。この、いちいちお皿に移し替えなくていい手軽さも、ズボラな僕にとっては高ポイントです。
02.キッチン周りを彩る名バイプレーヤー「野田琺瑯」
続いて紹介するのは、1934年創業のほうろうメーカー「野田琺瑯」。南部鉄器の黒からほうろうの白にバトンタッチです。
ほうろうは、金属の表面をガラス質の釉薬(うわぐすり)で焼き付けたもの。高い冷却性と、酸や塩分に強い耐久性を持ちあわせていて、食材の保存に優れた素材なんです。
中でも、ほうろう一筋80年以上の野田琺瑯に出合って以来、食品の保存容器はこれ一択! 野田琺瑯といえば天然木のフタとセットになったバターケースが代名詞ですが、水代家ではバターケースはもちろん、米やみその保存にも、冷蔵庫でソースや調味料を保管するにも、野田琺瑯の容器が見えないところで活躍しています。
ほうろうは耐熱性にもすぐれているから、冷蔵庫から取り出した煮物を保存容器ごとレンチンできるし、グラタンなどのオーブン料理にも使えます。そのままテーブルに出しても、ほうろう独特の光沢のある白がこれまた映える!
保存容器はそれこそ100均のプラスチックで十分、と思っている人は多いのではないでしょうか? でも、そんな保存容器にこそ名バイプレーヤーを起用することで、キッチン周りがワンランクアップすること間違いなし。作った料理を上品なほうろうの保存容器に移し替えるだけでテンションも上がりますよ。
03.初心者も上級者も“3割増し”のおいしさに? 「ル・クルーゼ」
ずっしりしたフォルムと鮮やかなカラーリング。料理を普段しなくても「ル・クルーゼ」のココット(鍋)を見たことがある人は多いのではないでしょうか。
ル・クルーゼは、ずっしりと重たい鋳物ならではの熱伝導と蓄熱性によって、すみずみまでムラなく熱が通り、素材の甘みやうまみを最大限に引き出してくれる。僕が思うに、ル・クルーゼの辞書に「強火」という文字はありません。
強火で短時間に焼いたり炒めたりする調理法は、素材に火が入るわずかな瞬間に味付けを終えなくてはならず、どうしても“瞬発力”が求められます。そこが、料理が苦手な人をキッチンから遠ざけているのではないかと思います。
でも、そんな“瞬発力”に自信がない人にこそ、このル・クルーゼの鍋を一度試してほしい。素材を切って、放り込んで、弱火でじっくり煮込む。それだけで肉も野菜も抜群のおいしさに仕上がります。
肉を焼くならスキレット(鋳鉄製のフライパン)がおすすめ。こちらも弱火でじっくり中まで火が通るので、ステーキもポークソテーも肉本来のうまみがぎゅっと凝縮されます。料理の得意不得意を問わず、ル・クルーゼの調理器具を使えば、料理がいつもの3割増しくらいにおいしくなるのがすごいところ。
ココット、スキレット、タジン鍋……水代家ではさまざまなル・クルーゼをそろえていますが、どれも10年以上愛用しているベテランばかり。使えば使うほどなじんでいくから買い替える動機が見つかりません。
04.極上の“混ぜ体験”を生むなめらかさ「北陸アルミニウム」
保存容器と同様、キッチンを陰で支えるもうひとつのバイプレーヤーがボウル。地味だけど毎日使うものだからこそ、ボウルにも名優をキャスティングしたいものです。
ボウルにもいろいろある中で僕が行き着いたのが、この「北陸アルミニウム」。1930年創業の富山のアルミメーカーです。
大半のボウルは、表面が少しザラついていて、食材を混ぜるときに気になっていたんです。でも、この北陸アルミニウムのボウルは、つるっとしたなめらかな質感で、卵を溶くときの心地よさは、他のボウルとは比べ物になりません。このボウルにシリコン製の菜箸は、“混ぜ体験”を心地よくする最強タッグです!
小さな取っ手も、混ぜる際の持ち手になって意外と便利。フックに吊るしておくこともできるし、見た目にもかわいいですよね。それに、この落ち着いたゴールドの光沢がこれまたキッチンに映えるんです(これしか言ってませんね笑)。
北陸アルミニウムのある富山は、ファスナーやサッシなど大手メーカーの創業の地でもあるアルミ製錬の一大産地。そんな、日本が誇る地場産業が我が家のキッチンを支えてくれていると思うと、キッチンに立つとき背筋がちょっと伸びますね。
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水代さんが薦めるキッチンウェアはまだまだある! 次回は前編では紹介しきれなかったおすすめアイテムを取り上げます。10月22日公開予定です。
からの記事と詳細 ( 使う前には戻れない!? 本当に役立つキッチンウェアメーカー4選 - 朝日新聞デジタル )
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