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Sunday, April 17, 2022

ケアリーバー 継続支援必要…居場所作り 学費・部屋提供 - 読売新聞オンライン

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 児童養護施設や里親の社会的養護のもとで生活している子どもたちは、原則18歳(最長22歳)で、自立の道を歩みだす。しかし虐待などのトラウマや、頼れる大人の不在などから、自立後に困窮や孤立に陥る例もある。「ケアリーバー」と呼ばれる彼らの自立支援を巡って、自治体などの取り組みを取材した。(平井翔子)

 小学3年の時、母親との生活が不安定だったことから保護され、18歳まで東京都内の児童養護施設で生活した半田丈也さん(20)。高校2年の時から、東京都世田谷区が月に1回実施する「居場所支援」に参加している。半田さんは現在、アルバイトをしながらお笑い芸人を目指しているが「この居場所がないと、自分はだめになるんじゃないかとさえ思う」と打ち明ける。

 不登校や中退、離職に追い込まれても、支援団体を訪ねることをためらうケアリーバーは少なくない。情報交換や交流によって孤立を防ぐことが居場所支援の主な狙いだ。

 この活動を支えているのが、世田谷区から事業を委託されている一般社団法人「 SHOEHORNシューホーン 」だ。児童養護施設職員、武石和成さん(38)がボランティアとして運営に携わっている。経験も知識も豊富な武石さんに相談できるのも「居場所」の魅力だ。武石さんは「自立には挫折や失敗も伴う。その姿を期限なく見守る定点のような役割が不可欠」と強調する。

 山梨県は、支援が必要なケアリーバーに、出身施設の職員や里親を派遣している。気心知れた大人が自立後も継続的に寄りそうことで、悩みを打ち明けやすくするのが狙いだ。延べ200人以上の利用実績があり、訪問費用は県が負担している。

 県によると、就職したケアリーバーの約半数は、虐待などのトラウマによる精神的不安や人間関係のトラブルなどから、1年以内に退職または転職しているという。

 ただ、こうした自治体の支援は、まだ多くない。厚生労働省が2021年に公表したケアリーバーについての初の全国実態調査では、児童相談所を設置する73自治体のうち61.6%には、独自の自立支援事業がなかった。社会的養護に詳しい武蔵野大の永野咲講師は「公的に保護した子どもは、公的機関が見守り続ける必要がある。行政は民間や施設などを巻き込み、本人に寄りそう活動に本腰を入れるべきだ」と話す。

 経済的自立もケアリーバーが直面する悩みの一つだ。進学しても中退してしまう原因にもなっている。

 世田谷区は16年から、進学を希望する施設の子どもたち向けに、寄付で集めたお金を給付型の奨学金として支給している。21年度は2750万円以上の寄付が集まり、8人が給付を受けた。さらに就職した人も含め、高齢者向けの借り上げ区営住宅の空き部屋を月額1万円で提供している。月に1度は出身施設の職員に自宅を訪問してもらい、学業や就労について相談に応じる。

 民間でも非営利組織(NPO)が、ケアリーバーへ学費や家具を提供するなど、自立を支える活動が広がっている。

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