大相撲で新たな部屋をおこした二所ノ関親方(35)=元横綱稀勢の里=が5日、茨城県阿見町で部屋開きをした。所属する力士は県内出身者を含め18人。親方は「部屋が出来たことをきっかけに、いずれは茨城を相撲どころにしたい」との夢も掲げる。
約5900平方メートルの広大な敷地に、国技館をモチーフにした屋根の部屋を建てた。力士が生活しやすいよう空間を広く取り、2~3人用の個室が五つ。稽古場の土俵は2面あり、効率的な稽古ができるという。
親方は田子ノ浦部屋から昨年8月、独立していた。「自分の城が出来た。(力士も)稽古に身が入ると思う」と話した。
この土地に巡り合ったことについて親方は「運命的」と表現し、「生活するのに必要なお店もたくさんあり、住みやすく駅からも近い」と気に入った様子。「この地で強い力士を育て、将来は横綱、大関を輩出できるよう精進したい」と抱負を語った。
部屋に所属する序ノ口の渡辺(19)=本名・渡辺龍斗=は県内の出身。今春、水戸南高校を卒業して二所ノ関部屋に入門した。「すごい兄弟子に囲まれて恵まれた環境」と言い、「地元茨城の人たちに愛される強い力士になりたい」と意気込む。
部屋が完成するまでは筑波大の施設を借りて稽古を積んだ。夏場所を終えて初めて部屋に入った時はその大きさに目を見張ったという。入り口は「旅館のよう」に立派で、稽古場は天井高が5メートルあった。筋トレができるトレーニング室も備えているので、「頑張らなくちゃとモチベーションが上がった」。
入門前と比べ、肩幅が大きくなり、体重は125キロから132キロに増えた。地元出身者と知って応援してくれる人も増えた。夏場所は5勝2敗と勝ち越し。「次の場所も勝ち越せるよう、また気を引き締めてしっかり稽古したい」。夢は横綱だ。
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地元は歓迎ムードに沸く。部屋がある阿見町は役場庁舎の正面に「ようこそ阿見町へ」と書かれた懸垂幕を掲げ、最寄り駅にも同様の横断幕を張った。
千葉繁町長(59)は1日に開いた定例記者会見で、部屋の開所について「本当にうれしい」と顔をほころばせ、二所ノ関親方ゆかりの品を集めた特別展示会を12~26日に中央公民館で開くと発表した。展示会を含む二所ノ関部屋との連携事業費は約1200万円に上る。
展示会では、部屋所属力士を写真パネルで紹介するほか、親方が現役時代に締めていた、漫画「北斗の拳」の化粧まわしなどを並べる。18日に同町の本郷ふれあいセンターで開かれる親方のトークショーは参加者を募集中だが、既に応募はがきは280通を超えたという。
町はふるさと納税の返礼品に開所記念の地酒セットも用意し、親方の直筆サイン色紙を付ける。寄付金の9番目の使い道として部屋の応援事業を加え、今年度内に専用の基金を創設する計画だ。
町は将来的に部屋が観光ルートにもなると期待を寄せる。
千葉町長は「(観光の)最後に、親方のところでちゃんこ鍋を食べられるような名所になれば」。地方場所などで部屋を空ける時期に、建物を地域に役立てたいとの思いが親方にはあり、千葉町長はその時期にちゃんこ鍋を出すという夢を膨らませる。「子どもの相撲教室」をつくる構想も打ち出した。
親方が中学2年から入門まで過ごした牛久市。部屋の最寄り駅であるJRひたち野うしく駅の自由通路に、部屋までの道のりを示した地図入りの案内板(2メートル四方)を設置した。駅から部屋へは徒歩10分の距離にある。
親方は2歳のころから牛久市に転居するまでを龍ケ崎市で過ごした。ウナギ料理「山水閣」(同市)の女将(おかみ)東郷万里子さん(68)は「近くにあんな大きくて立派な部屋が出来てうれしい」と喜ぶ。同店から部屋へは車で15分ほどの距離だ。親方とは家族ぐるみの付き合いで、店内には親方の手形や殊勲賞のトロフィーなども並ぶ。「新型コロナウイルス禍が落ち着いたら、部屋の稽古を見学したいですね」(平畑玄洋)
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