新型コロナの蔓延もひと段落しつつある昨今だが、その時節におされ、ついつい「CO2濃度測定器」を衝動買いしてしまった。
CO2濃度測定器といえば、「三密を避けよう」と言われ始めた3年前、「換気の目安に」ということで注目された製品だが、当時は安いものでも1万円近くしていた記憶がある。
ずっとその記憶のままだったのだが、最近見ると、4000円台の製品も多数出回っており、物によっては2000円前後の製品もあったりする(Amazonでの価格例)。
1万円出すなら「ちゃんとした用途」がないと買えないけれど、4000円なら「面白いガジェット」として買っても惜しくない。製品の性質上、仕事環境の整備にも使えそうだし、ちょっといいかも………と思った次第だ。
CO2濃度、温度、湿度が測定可能
あまりに安い製品もどうかと思ったので、実際に購入したのは、標準的な価格帯で、機能も普通そうな東亜産業の製品。購入価格は4400円ほどだ。
測定できるのは、二酸化炭素と温度と湿度。二酸化炭素は400ppm~5000ppm、温度は-10~60℃、湿度は5%~99%RHまで測定できる。電源コネクタはUSB Type-Cで、電源アダプタは別売(TYpe-Aコネクタからの電源ケーブルが付属するので、5Vが出力できる電源アダプタを用意する必要がある)。最大9時間のバッテリー動作(バッテリー容量2000mAh)も行える。
二酸化炭素の測定方式は非分散型赤外線吸収法(NDIR)で、この価格帯の製品はこの方式が多い模様。誤差は±50ppmで、自動校正、および手動校正機能付き。校正手順もマニュアルに明記されている。製造は中国だが、発売ブランドの東亜産業は国内ブランドで、日本語マニュアルも付属する。
また、二酸化炭素濃度に応じて、警告色が変わるようになっており、アラームを鳴らす設定も可能。段階は800ppm以下と、801~1200ppm、1201~1500ppm、1501ppm以上の4段階だ。
テレワーク部屋の二酸化炭素濃度は………?
さて、これでなにを測定するべきかというと、弊誌記事としては、やはり「テレワーク中の自室」だろう。
二酸化炭素濃度が高すぎると、眠くなったり、意思決定能力が落ちるなど仕事効率が落ちるとされており、基準としては1000ppmや5000ppmといった数値も規定されている。在宅勤務で仕事が進まない原因はいくつもあるが、「二酸化炭素濃度」がその要因の1つになっているかどうか、確認できるというわけだ。
では、測定していこう。
僕のテレワーク部屋は4畳半程度の洋室で、窓は2つ、通気口が1つある。まずは、窓を全開放、フル換気の状態で出た数値は485ppm。その後、窓を閉じ、通気口を塞いで仕事をすると、30分ほどで1000ppmに到達した。
この数字の見方だが、二酸化炭素濃度に関する基準としては、まず、厚生労働省が告知したコロナ禍での換気基準が1000ppm。コロナ禍以前の調査結果でも「1000ppmを超える状況が数時間以上続くと、意思決定能力や問題解決能力が落ちることがある」という調査結果(公益社団法人 空気調和・衛生工学会の調査結果)があるので、やはり「1000ppm」を1つの基準にするのがよさそうだ。さらに、事務所衛生基準規則では「5000ppm以下」とされているので、5000ppmを超えてしまうなら「事務所として適していない」ということになるだろう。
というわけで、僕の部屋では「30分仕事したら窓を開けて換気したほうがいい」という結果が出たことになる。
さらに言うと、この部屋の濃度上昇ペースは1時間1200ppmほどなので、3時間半ほど無換気で仕事をすると、二酸化炭素濃度は5,000ppmを超過、「事務所環境としては不適」になる計算。二酸化炭素濃度が高いと眠気を誘発しやすくなる、という話もあるし、ちょっと気を付けたほうがいいかもしれない。
通気口を開けても、二酸化炭素濃度は上がり続けた……
また、興味深いのが通気口の効果。
正直なところ、「通気口を開けとけば、窓は開けなくてもいいだろう」と思っていたのだが、実際に計測すると、1000ppm到達までの時間が30分から40分に伸びる程度で、二酸化炭素濃度は上昇しつづける。つまり、この部屋で仕事をするなら、通気口だけをアテにしてはいけない、ということだ。ちなみに、2面の窓を全開にしたら、その後30分で480ppm台に戻った。
ということで、自分の仕事場の特性は把握した。常時測定しながら仕事をしても気が散るだけなので、測定器はどこかに片づけておくが、もし「原因不明の不調」でも起きるようなら、また引っ張り出して測定してみたい。
なお、こうした数値は、部屋の広さや構造、立地、気候で大きく変わると思うし、基準とすべき二酸化炭素濃度も、個人の体質や体調でも変わってくるはず。気になる方は、一度、測定してみるといいと思う。
きのこも育った!
さて、ここからは余談だが、このCO2濃度測定器、買った目的がもう1つある。それが「きのこの栽培」。
家庭で栽培できる「きのこ栽培キット」が市販されているのをご存じの方もいると思うが、栽培シーズンは秋から初春で、4月になるとホームセンターなどで格安セールの対象になっている。
値ごろ品をつい買いたくなるワタシ、「半額」シールにつられてフラフラ買ってみたのだが、大型クーラーボックスに菌床を入れ、保冷剤で適温(キノコによって10~20℃)に保ってみても、なかなか大きくならない。
で、色々調べてでてきた条件が「CO2濃度が高くならないように抑えておく」というもの。業務用や家庭用の栽培キットを販売している株式会社キノックスによると、例えばなめこは「2500ppm以下」、エリンギは「3000ppm以下」が条件なのだとか。
できるだけ保冷したいので、換気は少なめにしておいたのだが、これを見て「換気が足りないのではないか………」と考えた。
で、一晩閉じたクーラーボックスを測定すると、二酸化炭素濃度は「5000ppm」。つまり測定上限張り付きだ。
そりゃ、成長しませんな(苦笑
というわけで、クーラーボックスの開け具合と二酸化炭素濃度のバランスを何回か調査した結果、「数cm開けておくのがベスト」という結論になり、二酸化炭素濃度も650ppmほどで安定。その後2週間でなめこもエリンギも収穫できた。なめこは既に6回収穫したので、(手間と保冷費用を考えなければ)もうすぐ元が取れる予定(笑
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