先日、私が不動産投資で一番恐れていたことが現実になってしまいました。それは13年も築30年の3LDKアパートに13年も入居してくださっていたファミリーの退去です。
長期入居なので傷みがあっても入居者さんにあまり費用請求できません。加えて、再募集する際には家賃を大幅に下げざるを得ないという、泣きっ面に蜂状態に陥るのが目に見えています。
実際の数字ですが、この部屋は約65?あるため、100万円近い原状回復工事費がかかるでしょう。また、再募集の際には、「現在の相場に合わせて1万円以上家賃を下げて欲しい」と管理会社から言われてしまいました。
この物件は5年前に取得したもので、この入居者さんから13年分の家賃をもらったわけではありません。それなのに、この仕打ちはひどくありませんか…(号泣)。
ただ、これってよくあることですよね。皆様も新築や築浅当時の家賃を払ってくれている長期入居者さんの名前を見ながら、「退去があったらどうしよう…」と思ったことは一度や二度ではないはずです。
ということで、今回はこの部屋の原状回復リフォームと入居者募集のプランについて紹介したいと思います。結論から申しますと、想定されるリフォーム費用を半分以下に抑えて、かつ家賃も13年前の水準のまま再募集できるよう工夫していきます。
■ 荒れ果てた部屋を見て多額なリフォーム費用を覚悟した
退去日の翌日、私は原状回復リフォームの方針を決めるために、その部屋を見に行きました。管理会社さんが設置してくれたキーボックスの中から鍵を取り出し玄関を開けてみたところ、想像していた通りに荒れた光景が目に飛び込んできました。
壁は手垢で汚れていましたし、床は一部剥げていました。天井、壁の壁紙はもちろん、クッションフロアも全て貼り替えないといけないことが一目瞭然でした。「これは先が思いやられるなぁ」と絶望感に浸りながら、歩を進めると傷んだ下駄箱が目に飛び込んできました。
この上で植物でも育てていたのでしょうか。天板は部分的に剥がれた上に、土だらけでした。綺麗にクリーニングした後、パテなどで穴を埋めて、リアテック化粧シートなどで美装しないと次の入居者募集に大きくマイナスになってしまいます。
部屋に入室すると、ツーンと嫌な匂いが鼻を刺しました。それはタバコのヤニの匂いでした。入居者さんは賃貸借契約に違反して、室内でタバコを吸っていたようです。
おかげで壁紙は全面真っ茶色ですし、エアコンにはヤニと埃がこびり付き、一瞬にしてエアコンの洗浄を諦めるほどでした。タバコのヤニはとても厄介で、特殊洗浄をしたとしても臭いが取れるとは限りません。ここまでひどくなるとエアコン自体の交換が必要です。
キッチンも油汚れで酷く変色していますし、床も清掃では取れないシミだらけ。キッチンは塗装か最悪、丸ごと交換が必要ですし、床も全部屋張り替えになることを覚悟しました。
洗面所には古いホーローの洗面台が鎮座しており、浴室のシャワーもツーバルブ式のものと旧式です。これらは最新の設備に更新しないと次の入居者募集では苦戦してしまいそうです。
トイレも同様です。既に廃盤になって内部部品がもう販売されていないタンクと便器がついているので、故障すると次の入居者さんに迷惑をかけてしまう可能性が高いです。温水洗浄便座もついていないので、タンクや便器、丸ごと最新のトイレに交換しないといけません。
最後に和室です。畳の部屋は入居者募集では不人気です。私の地域では一部屋につき3千円くらい、家賃を押し下げる要因になっているので、これを機会に洋室化した方が良さそうです。
具体的には畳を廃棄して、凹んだ分を合板などで床上げ工事し、フロアタイルを敷き詰めます。
■原状回復費用は100万円超え!?
これらを全て工事業者さんに外注すると結構な金額になります。私の地域相場に照らし合わせて試算した概算金額は以下の通り、94.1万円にもなりました(遠い目)。
原状回復費用の外注費一覧
実際にはこれよりももっとかかることが見込まれます。というのも、細々とした木部の塗装などはまだ費用に参入していませんし、もしキッチンの本体交換をするとしたらキッチンパネル貼り替えや水栓工事などの費用を含むと追加で50万円はくだらないでしょう。この時点で100万円超えはほぼ確実になりました。
費用を細かく見ていくと、一番費用がかかるのは壁紙の貼り替えと床(フロアタイル)の張り替えです。ヤニや手垢、油染みなどでダメになった3LDKの天井、壁、床を総張り替えするのだから仕方ないのですが、この二つで全体の費用の半分以上を占めたことには本当に参りました…。
というのも、この物件を購入する時に想定していた1退去あたりの原状回復費予算は家賃の6ヶ月分です。この部屋の家賃は1万円下がって約6万円になってしまう見込みなので、家賃6ヶ月分というと36万円にしかなりません。
つまり、60万円ちかく予算オーバーになり、それだけ物件購入時に想定した年間キャッシュフローが食い潰されることになります。
さらに、これだけ大きな費用をかけてもなお家賃が1万円下がって、将来の物件売却価格もその分下がるわけですから容易に受け入れられるわけがありません。
■ オーバーした費用を予算に近づける方法は?
かといって、複数の業者さんに相見積もりして費用削減するのは「違う」と思いました。これだけ予算との開きがある中で、相見積もりで仮に5-10%の費用を削ったとしても焼け石に水ですし、それ以上の強引な要求をすればせっかく構築した信頼関係が壊れてしまうのが目に見えています。
そこで思い切って、DIYでセルフリフォームすることにしました。DIYをする部分の費用は資材費のみになるので、大幅に費用を圧縮することができます。
上記の表を見ていただくとわかる通り(クリックすると大きくなります)、全てDIYすることができれば、約59万円が浮くことになり、当初の予算36万円内に納めることができます。
特に壁紙は廃盤品を使ったりすることで資材費の削減余地も大きいことから、DIYで浮かせる金額も18.4万円ととても大きく、これは全体の31%を占めます。壁紙貼り替えのDIYはやらない手はありませんね。
■ 家賃を1万円も下げてなるものか!
DIYをすることで費用の算段は付きましたが、納得がいかないことがあります。それは再募集する家賃が1万円下がってしまうことに変わりはないということです。
これだけリフォームしても、あくまで原状を回復する工事であって、周囲の物件と大きく差別化して家賃を上げられる程のバリューアップ工事にはなっていないのです。
そこで、このDIYで浮いた費用約60万円を予算として、家賃を1万円あげるリフォームを別に画策しています。それは何かというと…ちょっと長くなったので、次回以降のコラムでご紹介させていただきますね。
からの記事と詳細 ( 荒れ果てた退去部屋に茫然…100万円超えの原状回復リフォーム費用を半分以下に抑える方法とは?|不動産投資の健美家 - 健美家株式会社 )
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