ヘッジファンド運用のベテラン、ジェフ・アッベン氏はこれまでの気候サミットを、似たような意見がやりとりされるだけの「エコーチェンバー（共鳴の部屋）だと断じた。同氏は先日、持続可能な投資に特化したインクルーシブ・キャピタル・パートナーズを閉鎖した。
インクルーシブ・キャピタル・パートナーズは先週、市場に「報われなかった」として、ポートフォリオの売却と投資資金の返還を顧客に通知した。アッベン氏は、固定化した見解が気候変動に関する交渉進展を妨げているとして懸念を表明した。
意見が「分かれている」のは昔からだが、それでも「われわれは協力していかなくてはならない」とアッベン氏はインタビューで述べた。
気候問題を話し合う場に大手石油会社を参加させようと長年訴えてきたアッベン氏は2021年、 エクソンモービルの取締役会に迎えられた。同じ年にはアクティビスト（物言う株主）のエンジン・ナンバーワンがエクソン取締役会に３人を送っている。アッベン氏はアラブ首長国連邦（ＵＡＥ）のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議（ＣＯＰ28）で、諮問委員会の一員を務める。ＣＯＰ28には前例のない多数の石油企業幹部が参加した。
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「エクソンのような企業を招待すること」が明確な目標だったとアッベン氏は振り返る。それまで主要な炭素排出企業は「話し合いの場にいなかった」からだという。
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Source: Bloomberg
実際には「こうした会合は外交官らが美辞麗句を並べ、目標を掲げるだけのエコーチェンバーに過ぎず、けん引する力はなかった」とアッベン氏。「言葉に資金が伴わない。だから企業のバランスシートがこれほど重要なのだ」と述べた。
同氏が20年に及ぶバリューアクト・キャピタルでの経験を踏まえ、 インクルーシブ・キャピタルを創設したのは、グリーン投資がブームとなっていた３年前。環境破壊から食糧不足といった問題に取り込む企業を支援すると投資家にアピールし、80億ドル（約１兆1750億円）の調達を目指していた。
規制当局に３月に提出された文書によれば、インクルーシブ・キャピタルの資産は昨年末の時点で借り入れを含み26億ドル。今年は借り入れコスト上昇とサプライチェーンの目詰まりが資本集約的なグリーン企業を直撃し、気候関連の投資は特に苦しい年となった。
米国や中国、欧州で記録的な助成金が気候関連テクノロジーに投下されたものの、Ｓ＆Ｐグローバル・クリーン・エネルギー指数は年初から約30％下落。一方でＳ＆Ｐグローバル・石油指数は年初からほぼ変わっていない。
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（ブルームバーグ・フィランソロピーは気候関連の行動促進で定期的にＣＯＰ議長に協力している。ブルームバーグ・ニュースの親会社、ブルームバーグＬＰの創業者で過半数株主であるマイケル・ブルームバーグ氏は、国連気候変動対策特使を務める）
原題： Hedge Fund Veteran Slams Green ‘Echo Chamber’ After Closing Firm（抜粋）
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