子育て世代のママ・パパなら、一度は「あ、子どもが危ない!」とヒヤり・ハッとした経験があることでしょう。部屋の中などで起きる家庭内事故について、その状況と防ぐための考え方やポイントを消費生活アドバイザーの池見浩さんに紹介してもらいました。
【池見 浩】
消費生活アドバイザー
消費者考動研究所 代表
暮らし全般の幅広い専門知識(衣食住から法律・マネー、CSRまで)を持つ消費生活の専門家=消費生活アドバイザー。長年の顧客対応や消費者行政での職務経験とノウハウで、教育現場から行政、企業、団体の消費者教育とあなたの消費者力UPをサポートいたします。
こんなに起きている悲しい現実
消費者庁によると、2016年に交通事故・自然災害以外の不慮の事故で亡くなった0歳児のうち、約90%が窒息死でした。多くは、うつぶせ寝や掛け布団、喉詰まりなどによる呼吸困難です。1~4歳児の場合は、約45%が浴槽や洗面器その他の溺水で、約35%は窒息で亡くなっています。
また、日常生活の事故で救急搬送された子どもの事故内容は、0歳児が「落ちる」31.2%、「ものがつまる等」26.1%、「ころぶ」11.2%、「ぶつかる」5.3%でした。これが4~6歳児になると、「落ちる」21.9%、「ものがつまる」5.3%と減り、逆に「ころぶ」35.7%、「ぶつかる」16.2%と、いずれも3倍以上リスクが増加しています。
参考:消費者庁「平成30年版 消費者白書」
子どもの目線・気持ちになって考えよう
子どもの家庭内事故の原因には「ベビーベッドの柵を上げ忘れて落ちた」「熱いまま離乳食を口に入れた」「添い寝で覆いかぶさった」などの保護者のうっかりミスと、子どもの「思いもよらない行動」に大別できます。
このうち「うっかり」事故は、保護者が自分の行動に注意すれば避けられます。しかし「思いもよらない」事故の場合、子どもの行動によるコントロールの難しさがあります。
子どもの行動には、子どもなりの理由があります。そのため、子どもの体や行動の特性を知り「子ども目線」で考えることで、より有効な対策が立てられます。
以下に年齢別の特徴と危険事例を一覧化しました。
「もし自分がその子になったら、どんな状況だろう」と想像してみましょう!
※年齢・発育状況は目安で個人差があります。
[0歳]
体は4頭身。目はあまりはっきり見えません。お座りするまでは、腕で自分の体を支えたり、ものをよけたりできません。また、ハイハイやつかまり立ちが始まると、指でものをつかめるようになり、自分で動いて手や口などで確かめたくなります。
事例
子どもが寝返りし、うつぶせになっていた
おむつ交換台に寝かせて準備していたら、頭から落ちた
はいはいして、加湿器の熱い蒸気を触っていた
[1歳]
立ち歩きが始まり、全身で遊べることが楽しい時期。視力は0.2ぐらいで、何でも興味津々!脚力はまだ弱く安定していません。
事例
フォークをくわえたまま、よちよち歩きしてころんだ
パパの胸ポケットのたばこを口に入れていた
[2歳]
身長は80cm~90cm。階段の昇降やボール投げができるようになります。ごっこ遊びが始まり、自我が芽生えます。
事例
風呂場で椅子に登って浴槽へ頭から落ちた
ベランダでエアコン室外機の上に乗っていた
[3歳以上]
自分で考えて行動するようになります。まだ頭は大きく、5頭身~6頭身。友だち遊びや、弟・妹の世話をすることもあります。
事例
引き出しを開けようとタンスに登って、タンスごと倒れた
4歳の子が、1歳の妹の耳に綿棒を入れて掃除していた
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