最近はカムラの里でお団子をほおばりながら,せっせとモンスター退治に励んでいる筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第677回は,PolyAmorousが開発した「Paradise Lost」を紹介する。本作は,廃墟となったナチスの地下都市を探索するというアドベンチャーゲームだ。長年愛用していた笛がすっかりスタイリッシュな武器になってしまい,嬉しいような,寂しいような……。
本作の舞台は,現実とは異なる歴史を歩んだ世界。20年続いた第二次世界大戦はナチスによるヨーロッパ全土への核攻撃によって終結し,世界は放射能汚染と核の冬で閉ざされた。主人公である12歳の少年シモンは,母の死後,それまで母と2人で暮らしていた小さなシェルターを出てポーランドの不毛の荒れ地を彷徨っているときに,ナチスが残した巨大な地下施設を発見する。
ゲゼルシャフトとも呼ばれるこの地下施設は,第3新東京市もかくやという超巨大な地下空洞となっており,選ばれた一部の市民と軍人のみが入ることを許され,来るべき決戦に備えて,ここで共同体生活を送っていたようだ。しかし,ポーランドのレジスタンスによる占拠を経て,現在は無人の廃墟となっている。
この場所で,生前の母が隠していた写真に写っていた,見知らぬ男性の手がかりを見つけたシモン。そんな彼に,無人と思われた施設のどこかから,インターコムを使った通話でエヴァと名乗る少女が呼びかけてくる……。
本作は一人称視点のアドベンチャーゲームで,プレイヤーは主人公のシモンとなって,ナチスの遺産である地下施設内を探索していく。一方,エヴァはどこかのコントロールセンターのような場所に閉じ込められており,自分を助け出してもらうことを条件に,各所に設置されたカメラとマイクを通じて,シモンの探索を手助けしてくれるという。
舞台となる地下世界は,洞窟のような場所はもちろん,市民が暮らしていた区画や高級将校のための豪華な建物,精肉などを行うための食品加工所など,多彩なロケーションで構成され,とにかく広大。これほどまでの巨大な地下施設が一体何のために作られ,ここで何が起こったのかは,あちこちに残された手記やオーディオログを通じて,徐々に明かされていく仕組みだ。
ゲーム進行は基本的に一本道で,先に進むと後戻りはできない。手記などを見落とすとストーリーの理解が難しくなるので,駆け足で通り抜けずに,周囲をじっくりと調べてから先へ進むようにしたい。ゲーム内にあるたくさんのテキストは,どれも違和感のないしっかりとした文章で日本語ローカライズされており,これらを読み進めていくうちに,どんどんその世界観に引き込まれていくだろう。
最初はバラバラに見えた,この地下施設の秘密や見知らぬ男性の正体,そしてエヴァは何者でどこにいるのかといった多くの謎は,やがて1つに結びついていく。本作は一応,マルチエンディングを採用しており,ラストで突き付けられる大きな決断にどう向き合うかは,プレイヤー自身の選択次第だ。美しくも荒廃した,写実的なグラフィックスも大きな魅力で,アドベンチャーゲームファンにぜひオススメしたいゲームに仕上がっている。そんな本作はSteamにて,1520円で発売中だ。
■「Paradise Lost」公式サイト
https://www.allingames.com/game/paradise-lost/Paradise Lost (C)2020 All in! Games S.A.. Developed by PolyAmorous and published by All in! Games S.A.. Paradise Lost is trademark of All in! Games S.A.
からの記事と詳細 ( インディーズゲームの小部屋:Room#677「Paradise Lost」 - 4Gamer.net )
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