昭和時代後期に建てられた柏市大津ケ丘の団地で営まれている子ども食堂が、昨秋からキッチンカー利用に乗り出した。新型コロナウイルスの感染を防ぐため「密」を避けつつ、いかにして子どもたちの「居場所」を確保していくか、スタッフや支援者の模索が続く。 (堀場達)
キッチンカーを走らせているのは、大津ケ丘で高齢者らの交流拠点「ふれあいカフェ クルトコ」の運営責任者の北田恵子さんが理事長を務めるNPO法人「ワーカーズ・コレクティブうぃず」。
クルトコではコロナ禍前から、子ども食堂を開いており、感染防止対策として、休眠預金活用に取り組む一般財団法人日本民間公益活動連携機構の助成金約八百六十万円を受け、昨年十一月に購入したキッチンカーを使い始めた。
キッチンカーの出番は、子ども食堂が月五回で、このうち大津ケ丘が三回、うぃずが本拠を置く同市松葉町で二回。両所で開く高齢者向けの「青空カフェ」にも役立てている。今のところ、車内で調理はせずに、クルトコなどでこしらえた弁当の配給が中心だ。
北田さんは言う。「コロナ禍で、昨年は三月〜六月まで、子ども食堂は休業。クルトコ自体も食事が提供できず、飲み物のみにするなど、活動が大きく制限された。人に集まってもらうのではなく、キッチンカーで自ら外に飛び出していくことで、こうした状況を打開したかった」
子ども食堂の取り組みは、口コミなどを通じて、知られるようになり、大津ケ丘でも松葉町でもリピーターが増えてきた。大津ケ丘で四月二十四日に開かれた子ども食堂では、大勢の子どもたちや親子連れが列を作り、肉や卵のそぼろ、キュウリやちくわを飯の上に彩りよくちりばめた「こいのぼりキャラ弁」をうれしそうに受け取っていった。
キッチンカー前には、子どもたちに持ち寄りを依頼した紙細工のこいのぼりを泳がせた。こうした各回ごとのイベントを考えるのは、スタッフで、うぃずメンバーの吉楽慶子さん(46)。「食事を提供することにとどまらず、みんなの居場所をつくって、悩みごとなどを話してもらうことが大切。今は長居ができないので、短い時間で楽しめるように工夫しています」
小学校二年生の長男(8つ)、次男(3つ)を連れてきた利用者の女性(46)は「コロナ禍で工場勤務の夫の収入が少なくなり、私のパートの勤務シフトも減らされたので、本当に助かっている。何より楽しめる。帰り道の公園でこのお弁当をいただき、ピクニック気分を味わいます」と話した。
今月五日には大津ケ丘で、こどもの日の特別企画を考えていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、急きょ中止に。「残念だが、細心の注意を払わねば。食中毒の季節が来るので、キッチンカー本来の調理機能を生かし、弁当以外の食事提供も試したい」と北田さんは前を向く。
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