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Sunday, June 26, 2022

稼働率100%の部屋はなぜ生まれたのか アパホテルの「宿泊客を飽きさせない工夫」 - 産経ニュース

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アパグループの元谷一志社長兼CEO。1971年4月20日福井県生まれ。石川県出身。90年石川県立金沢二水高等学校卒業。95年学習院大学経済学部経営学科卒業。住友銀行にて5年間勤務した後、99年11月アパホテル株式会社常務取締役として入社。2004年に専務取締役に就任した後、12年5月にアパグループ株式会社代表取締役社長に就任し、グループ専務取締役最高財務責任者、グローバル事業本部長を歴任。22年4月アパグループ社長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、現在に至る。

国内外でホテル事業・都市開発事業などを展開しているアパグループ。1984年に第1号店としてアパホテル〈金沢片町〉を出店して以降、ホテル事業は37年連続で黒字を計上している。新型コロナウイルス感染症の拡大で宿泊需要が減り、客室の稼働率が著しく低下したなか、なぜアパホテルは宿泊客をつなぎ止めることができたのか。

その理由の1つに「顧客満足度」がある。アパグループの元谷一志社長兼CEOは「ホテル業界は古い業界なので『客室はかくあるべし』といった伝統や格式が残っており、そうしたホテルは(コロナ禍にあっても)変わらなかった。今まではそれで良かったのかもしれないが、例えば働き方が変わったらホテルの機能も変えないといけない。宿泊客のニーズに応えて進化し続けてきたのが、アパホテルが黒字を計上できた要因だと思っている」と話す。

開業から37年とはいえ、ホテル業界全体で見ればアパホテルはまだ新興の部類に入る。「老舗ではないからこそ、宿泊客のニーズに柔軟に対応できた。結果、それが顧客満足度向上につながった」と、元谷社長が自信を見せるアパホテルの取り組みを見ていこう。

元谷社長は、宿泊客のニーズに対応した例として、2016年10月開業のアパホテル〈広島駅前大橋〉から導入したシーリングライト(天井の照明)を挙げた。「今ではWi-Fi完備のホテルは珍しくないが、それまで宿泊客はベッドサイドの机にノートパソコンを置いて、有線接続で作業していた。ところがWi-Fiが利用できるようになると、宿泊客はベッドの上で作業するようになった。それならベッドの上で作業しやすいようにとシーリングライトを設置した」(元谷社長)

ベッド上にシーリングライトを設置した ※写真はアパホテル〈綾瀬駅前〉(画像提供:アパグループ)

稼働率100%の部屋

22年4月に開業したアパホテル〈なんば心斎橋東〉で採用した客室「SSコネクト(シングル・シングルコネクト)」も時代のニーズをくんだアイデアだ。これは隣り合うシングルルーム同士を必要に応じて行き来できるようにし、ツインルームのように使えるようにしたもの。テレビやシャワー、トイレも2つずつ使え、空調も分けられるなど、ツインルームより使い勝手がいい。

SSコネクト。SSコネクトは、アパホテル〈なんば心斎橋東〉にある199室あるシングルルームのうち34室(17組)が対応している(画像提供:アパグループ)

友人同士などで一緒に旅行はしてもプライベートは確保したい場合や、受験シーズンの親子利用などに期待しているという。「SSコネクトは、テレビで紹介されていた、最近は受験に親が付き添うという話に着想を得た」(元谷社長)

近年、日帰りできない場所にある大学などを受験する際に、受験会場に近いホテルに親子で宿泊するケースが増えている。しかし、ホテルのチェックイン・チェックアウトの手続きや食事の支度などは親がやってくれるので、子供は最後の追い込みに集中できる……とはならず、親が同じ部屋にいると気が散ってしまうのだという。元谷社長はそこに目を付けた。

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