Photographed by tsubottlee
埼玉県は、県庁所在地でもあるさいたま市。最寄駅から徒歩10分ほど、大通りから少し入った静かな集合住宅の1室に、今回ご紹介するcomooさんの住まいはありました。
週の半分以上は医療の現場で働きながら、それ以外の時間を使って花屋を営むcomooさん。ご実家とも近いエリアで見つけた住まいは、部屋数は多く、日当たりもよい最高の物件でした。
以前は必要なものを置くためだけの空間だったお部屋から、人が集い、新たな可能性が生まれる場に変わっていったお部屋について、お話を伺ってきました。
この部屋に決めた理由
必要なものが十分に保管できる広さ
就職して生活も落ち着いてきた頃、実家には収まりきらなくなった古着や花植物が保管できる場所を求めて現在の部屋へ引っ越したcomooさん。
「父親が実家の近くにあったこの物件を見つけてきてくれて内見にきたのですが、広さに感動して即決しました」
お部屋に入って印象的だったのが、その明るさ。空に雲がかかっても十分に明るい空間は、居心地もよさそうです。
「各部屋に大きな窓があり、自然光がたくさん入ってくるので、写真を撮ったり植物を育てたりする上でも最高の物件だったと思います」
お部屋の広さや数の多さも活かして、今では不定期のワークショップや食事会なども行っているcomooさん。この物件に出会えたことで、ご自身の活動の幅も広がっていました。
お気に入りの場所
人を招いて楽しめるリビングスペース
お部屋の中心にあるリビングスペースは、comooさんの暮らしの場としてはもちろん、人を招いて大勢でも楽しめる空間になっていました。
「住まいの中心を担ってくれているダイニングテーブルを囲んで、ドライフラワーのワークショップや食事会を開催しています」
「地元ということもあり、夜にふらっと友人を招いてお酒を飲んだりする時間も好きです」
これだけ広い空間に机があると、お店以上にリラックスできそうだなぁ。
テーブルの上にはたくさんの植物たちが並んでいました。
「日当たりがよく、自然と植物が成長してくれます。日中はここで作業したり、本を読んだりするのも心地がいいです」
コーヒーを淹れる姿が絵になるキッチン
広いリビングから眺めるのが好きだというキッチンスペース。カウンターではよくコーヒーを淹れているそう。
「知り合いの紹介で訪れた、埼玉の金子古家具店さんで購入したものをキッチンカウンターとして使っています。よく使う器類が取り出しやすく、インテリアとしての雰囲気もいいですね」
リビングとキッチンの間に置かれていることで、緩やかに空間を分ける役割も担っていました。
料理人の知人が食事会を実施することもあるというcomooさんのキッチン。プロも認めるだけあって、使い勝手がよさそう。
「キッチンはとにかくものが取り出しやすく、動きやすい動線を意識して収納を考えています」
自らの住まいを「酒飲みの家」だとcomooさんが笑いながら話すように、お酒も多く置かれていました。
「調理器具と同様に、大好きなお酒は友人からいただくことも多く、常に取り出せる場所に置いてありますね(笑)」
朝から気持ちよく身支度できる寝室
3部屋あるうち、2面採光で日当たりのいい洋室を寝室として活用。
古着やバッグなどもこの1部屋にまとめられ、朝起きてから身支度がすべて整う空間になっていました。
「東向きの窓から十分すぎる光が毎朝入ってくるので、1日のスタートを気持ちよくスタートさせることができます。
古着は昔からついつい買ってしまうことが多かったので、今はこの空間に収まる範囲で管理しています。バッグなどもこの部屋にある分だけなので、ここで準備してそのまま出かけることができます」
ワークショップなどでも利用する他の部屋と異なり、こちらはりんご箱などを活用したオープンな収納があるのみのシンプルな空間です。
「スペースごとに収納するものを緩やかに分けつつ、ベッドサイドには友人の作品などを並べています。目に入るところに身近で頑張っている人のものを置くことで、自分自身の気持ちも高められるようにしています」
リラックスすることに特化した和室
以前はワークショップのための空間だった和室は、その役割を別室に移すとともに一時はデッドスペースになっていた空間。そこから各部屋の使い方を再度整理する中で、comooさん自身がくつろげるスペースへとつくり直されていました。
「他のお部屋と異なり、生花や枝物の植物なども使って、より生き生きとした植物の集まる空間にしています。好きな漫画や雑誌などもこのお部屋に置いているため、畳に腰を落としてゆっくりするのに最適な場所になりましたね」
お仕事の関係で論文を読んだりすることも定期的にあるというcomooさん。押し入れ収納をデスクにすることで、集中できるワークスペースへと変身させていました。緑溢れる空間での作業は、気持ちもスッキリして捗りそうですね!
お気に入りのアイテム
ご友人のデザイナーから貰ったダイニングテーブル
お部屋の中心に位置するダイニングテーブルは、知り合いのデザイナーさんから引っ越し祝いにいただいたもの。
「以前そのデザイナーさんが営んでいたカフェで使われていたテーブルをいただきました」
「広い天板がとにかく便利で、このテーブルのおかげでワークショップや食事会もできるようになりました。本当にあってよかったと感謝しています」
床や壁に飾られた緑に加えて、中間層となるデスクにも緑があるおかげで、お部屋全体のバランスもよくなっていました。
学生時代から愛用しているカップ&ソーサー
現在の住まいで最も古くから使われているアイテムだというのが、デンマークのプロダクトデザイナーJens.H.QuistgaardによるCordialシリーズのカップ&ソーサー。
「学生時代に通っていた古道具屋さんで、一目惚れして購入したものです。将来、一人暮らしをした時に使いたいと思って選び、実家暮らしの時からコーヒータイムに必ず使う器として今まで使い続けています」
「使う中で、気づいたら一部欠けていたなんてこともありますが、ずっと変わらず空間や自分の手元に馴染んでくれている大切なアイテムですね」
取材時も食器棚の中でその存在感を放っていた器は、ものを大切に使い続けられているcomooさんらしい一品でした。
ガラス張り扉の古棚達
草花とともに空間をシックに引き締めているのが、この住まいで増えてきたという古道具たち。
ガラス張り扉の古棚は、特にお気に入りのものなのだそう。
「キッチンカウンターも、リビング横の子もとても綺麗で大好きです。いろいろなお店に足を運んではいいと思った子だけを迎え入れるようにしていますが、特に二瓶古家具店で購入したものたちは手入れも丁寧にされていて、住まいでも多く使わせてもらっています」
家具のデザインや雰囲気によって、収納しているもののよさも引き出しているような気がします。
ドライフラワーや植物とも相性がよく、引いて見ても空間の完成度を高めていました。
残念なところ
シューズボックスの狭さ
古着と同様に靴も好きだというcomooさんにとって、気になってしまうのが靴箱の狭さ。
「洋服ほど靴は集めていないのですが、それでも10足以上ある中で、靴箱は少しスペースとして物足りなくなっています。
今はまだ実家にいくつか置いている状態なので、もう少し落ち着いてきたら自分で収納スペースをつくってみるなど、手を加えて対応していきたいですね」
暮らしのアイデア
非日常感のある空間づくり
ワークショップなどで住まいに人を招くことが多いcomooさんだからこそ、訪れた人が非日常感を味わえる空間づくりを意識されていました。
「ワークショップやイベントを頻繁に開催しているため、お部屋にいながらも非日常を味わえるような美しい空間をつくれるように心がけています。
ギャラリーに近いような雰囲気を出せるような植物や古道具をピックアップし、いただいたものを除き、人と被るようなものは極力置かないようにしていますね」
価値がないとされたものから価値を見つけ出す
非日常感のある空間づくりの中心になっているのが古道具。comooさん自身、古道具を中心にドライフラワーや古着など、好きだと感じるものには共通の考えを持たれていました。
「新品のものもいいのですが、自分は何十年も前から別の場所で別の誰かに愛されてきたものたちを、今度は私の手で共に暮らしていくことに喜びを感じています。
これは自分が昔から憧れていた兄さん姉さん方が、そのような古道具のよさを常に教えてくださっていたので、それに影響を受けていることも大きいです」
「誰かにとって価値のなくなったものでも、他の人の捉え方や手によって価値を生み出すことができると思っています。
自分の手がける草花たちも手に取っていただいた方のことを考えて、その人のバックグラウンドに合った花言葉なども伝えながら新たな価値を感じてもらえるものとして提供できるようにしていますね」
医療の現場でも、こうした価値の創出や意識付けの考えは通づるところがあると話すcomooさん。
ご自身の制作物や空間へのこうした細やかな配慮が、訪れる人の心を掴み、「また来たい、手に取りたい」という思いに繋がっているようでした。
これからの暮らし
緑とのくつろぎ方が広がる場づくり
すでにたくさんの草花に囲まれたcomooさんのお部屋ですが、まだまだ今は道半ば。手を加えていく中で自身にとっても、訪れる人にとってもよりよい空間づくりをしていきたいと話します。
「植物はリビングスペースでの数を増やしていくことはもちろん、二方向に広がるベランダでも楽しんでいけたらと考えています。ベランダで植物に囲まれながら外飲みなんてできたら最高ですね」
「植物以外ではすでに、ハウスワークショップや、シェフによるキッチンなど、さまざまな人が行き交い繋がれるお部屋になっている中で、より一層いろんな人が繋がれる場所にしていきたいと考えています。
今はワークショップでお花を選ぶ場所としてのみ使っている洋室は、椅子やテーブルを別途用意して、小さなカフェスペースとして展開していく予定です」
「まだまだ、こうしたご時世なので小規模な場づくりが多くなってしまいますが、だからこそSNSとは異なる強いリアルな繋がりをつくっていけるのではないかと考えています。
お部屋づくりと同様にそれぞれが持っている価値を持ち合わせる中で、関わる人たちの可能性を広げられる機会に関われたら嬉しいです」
「誰かにとっての無価値は、誰かにとっての有価値である」とお部屋も人も価値や可能性を探り、見出しながら暮らしを育まれているcomooさん。
つくり上げられたお部屋を土壌に、これからどんな新しい出会いの芽が生まれ、可能性の花が咲くのか。私自身もまた伺いたくなるお部屋でした。
からの記事と詳細 ( 非日常を演出する賃貸ひとり暮らしの部屋。ワークショップも開かれる空間とは?(さいたま市)|みんなの部屋 - roomie )
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