美月「そろそろ婚活にも疲れてきた…」
「うう、寒い…」
もう春はすぐそこだというのに風が冷たくて、薄手のトレンチコートを着てきたことを後悔する。深夜0時。神楽坂の石畳にヒールがはまらないように気をつけながら、私は肩をすくめて歩いた。
石畳とヒールの相性が悪いことなんて、百も承知である。
でも神楽坂は大人な雰囲気が漂う場所だから、少し背伸びをしないといけない街なのだ。
思えば、私はいつも“いいオンナ”になりたくてずっと頑張ってきた。
それでも結局、今日もまた1人で夜の街を歩いている。何者にもなれていないし、30歳までに結婚したいという願いも叶いそうにない。
「何を、どこで間違えたんだろう…」
妥協できれば良かったのだろうか。もっと早くに、そのとき付き合っていた彼氏と結婚しておけば良かったのだろうか。
「あのときこうしておけば…」という思いばかりが募る。私も早く結婚して、余裕のある暮らしをしたい。1人きりでがんばることにも、そろそろ疲れてきた。
そんな私を、神楽坂という街が暗く深く包み込んでいった。
からの記事と詳細 ( 彼の部屋で「お泊まり用の化粧品を置いていってもいい?」と尋ねたら…。男が放った、ゾッとする一言 - 東京カレンダー )
https://ift.tt/zm4IOhW
No comments:
Post a Comment