新型コロナウイルス下で、密が避けられるとして注目されるキッチンカー業界の成長を見込み、異業種から参入する動きが広がっている。鉄工所が車両開発を始めたり、食品会社が車両の貸し出しから出店までを支援したり。キッチンカーの営業は主に都市部で盛んだが、事業者に出店場所を提供する仲介業者は地方での営業も始めた。(杉尾毅)
「全国から問い合わせが相次いで生産が追いつかない」。山口県下関市の鉄工所「みとも」の社長、脇山等さん(60)はこう語る。
元々は船舶用の階段や手すりの製造を手がけていた。しかし、近年は造船業界の低迷で業績が伸び悩んでいた。そうした中、脇山さんはキッチンカーの成長性に着目し、車両の製作に乗り出すことにした。
キッチン部分は、軽トラックの荷台に搭載できる軽量タイプとした。これまで培った独自の溶接技術を生かし、骨組みはスチール、外板にアルミを使用。車両本体を除き約100万円からで、一般的なキッチンカーよりも安い価格を実現した。昨春から売り出し、計70台を販売。鉄工業も含めた売上高は、4月時点で前年同期比4割増の約1億8000万円に達した。
6月は15台を受注。生産体制拡大のため、近く造船関連で取引のある愛媛県の企業に工程の一部を委託する計画で、脇山さんは「生産能力を倍増させたい」と意気込む。
キッチンカーの新規出店を総合的に支援する大手企業も出てきた。ハウス食品グループ本社(東京)は3月、車両の貸し出し、出店場所の確保、料理の下準備をする調理場の提供などをまとめて引き受けるサービスを東京都内で始めた。
事業者は1日当たりの売り上げの一部と、それとは別に5000円を毎日支払う。まとまった初期費用がいらなくなり、出店場所を巡る交渉や手続きが省ける。現在、レンタル用の車両は6台で、来年までには15台までに増やす目標だ。
今後はエリア拡大も検討し、10年後には売上高8億円を目指す。同社広報・IR部の竹下光さん(33)は「キッチンカーは成長性がある。食の総合企業として業界の活性化に貢献したい」と話す。
新規参入者向けの講座を開く動きもある。カフェスクール「カフェズライフ」(大阪市)は日本催事販売協会(兵庫県)と連携し、営業のノウハウを教えるセミナーを昨年6月に開始。これまでに6人が修了した。
キッチンカー事業者に出店場所の仲介を行う「メロウ」(東京)によると、同社の登録店舗数は6月現在、全国約1200店で、前年同月比で約1・4倍となった。同社は昨春、地方での需要増を見込み福岡市に支社を設立している。
広報担当の小関真裕美さん(35)は「コロナの影響で飲食業のあり方は多角化した。キッチンカーの需要はこれからも高まるだろう」と話している。
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